出版社内容情報
早期発見がいわれ、受診した人の内8割以上が「異常」を発見される脳ドック。そして、「イボをとるように簡単」と勧められる予防的手術は、はたして安全、かつ有効な医療なのか?! 脳ドックキャンペーンの裏側にひそむ予防医療の危うさを浮きぼりにする。
発症してからでは治療が困難といわれる脳卒中や、呆けることへの不安が高まる中、脳ドックによる早期発見がいわれ、健康診断のひとつとして受診する人が増えている。 1990年に脳ドックを開設したある病院では、1年もたたずに受診者が1000名を超え、その内「異常なし」と診断されたのは、わずか168例という驚くべき結果が出た。「異常」が見つかった8割以上の人は、自覚症状がなく、健康であったにもかかわらず、新たな検査、治療、手術を受けることになる。こうして脳ドックで「患者」がつくられ、予防的手術が多くの病院で行われるようになっていった。 しかし、手術の方法は例数が少なく、医師の技術にも差があり、現状では十分な安全性が確立されているとは言い難い。「せっかく見つかったのだから」「イボをとるような簡単な手術だから」と勧められ、安易に手術を受けて死亡した例もある。本書はこうした医療事故の事例から、脳ドックキャンペーンの裏にひそむ予防医療の危うさを浮き彫りにする。
内容説明
脳ドックを受ける人は、健康なことを確認したいと願っているだろう。でも、ほとんどが異常と言われてしまう。そして手術になる可能性が高い。ドック受診を決めるその前に、手術死を含む後遺症の危険を本書によって知るべきである。
目次
序章 ある国鉄マンの死
第1章 脳―広大な宇宙
第2章 人が脳卒中を起こしやすいわけ
第3章 脳ドックの出現
第4章 予防的手術の方法と危険性
第5章 予防的手術における被害の数々
第6章 老人「呆け」予防のキャンペーン
終章 脳ドックは本当に必要か
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