出版社内容情報
化物の子の健気な化け修業、困ったことをするお下劣な河童など、パワー全開の江戸化物総出演。作画=十返舎一九、恋川春町などの作品から、絵師=歌川豊国、鳥居清長他による5作品を再現。京極夏彦氏のエッセイ=化物草紙の妖怪再び…を収載。
世界にも類を見ない江戸人の自由な発想と、作家も画工も超一流、贅を尽くした作品を普通の庶民が安価に享受するという、豊かな出版文化。江戸時代のマンガ、草双紙は、そういった環境で発展しました。この草双紙の中の一ジャンル「化物草双紙」から五作品を厳選。現代のマンガ読者にも鑑賞しやすいよう、文章を活字化し、場面ごとに解説を施しました。 また手垢・落書き・風化に汚れた紙面を、コンピュータ処理と職人の腕で、美しく再現。刊行当時そのままの鮮やかさで、木版名工の技をお楽しみいただけます。数々の化物キャラクターの造形と性格付けの妙から驚嘆させられる、江戸人の偉大な想像力。はたまた日本文化史上衝撃のお下劣作品の発掘に、議論噴出は必至か?
内容説明
本書に登場する数多くの化物たちは、黄表紙の作者と絵師の豊かな想像力によって作り上げられた産物である。著者は、黄表紙の「物語性」に重点をおいて化物の本来のキャラクター性を探り出している。
目次
妖怪仕内評判記(恋川春町=作画)
ばけものつわもの二日替(桜川慈悲成=作・歌川豊国=画)
化物一代記(伊庭可笑=作・鳥居清長=画)
河童尻子玉(十返舎一九=作画)
鬼の趣向草
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tama
10
図書館本 書架で 妖怪好き 著者はアメリカ人で「へえ」と思って借りた。江戸時代の黄草紙本を解説しつつ「入れない方がいいツッコミめいた感想」を入れてる。でも元の草書体じゃこっちが読めないから、原文を今の活字にしたところがナイス!可愛くない豆腐小僧もいるのね。「ばけものつわもの二日替」「鬼の趣向草」が面白い。鬼娘の顔は今の漫画家なら絶対もっと可愛くしちゃうはず。江戸時代の絵師は「鬼」からイメージが離れられなかった?そういや今のマンガの顔はいつ頃出来たんだろう?高橋留美子以前であることは間違いないな。2021/02/19
Tanaka9999
9
2000年発行、小学館の単行本。江戸時代の黄表紙で化物が主題の作品を解説付きで掲載。ちょっと情けない、人間らしい化物。解説でも少し書いているが、この系譜は漫画の化物に受け継がれているかな。文学の化物は作者の思想が反映するものとなっている気がする。2022/12/25
印度 洋一郎
2
「江戸化物草紙」に続く、化物を題材とする黄表紙再録本。化物達の”化け合戦”や臆病者の侍の化物退治譚など、今回も快調だ。ホモセクシャルとスカトロ風味溢れる「河童尻子玉」、当時の人気アトラクション「鬼娘」のプロモーション用作品「鬼の趣向草」など、益々ディープな世界が展開。一番好きなのは、化物の親から生まれた人間の子の流転譚「化物一代記」。笑い、恐怖、エロス、風刺、色んな要素がギュッと詰まっていて、絵も美しいものあり、ホラー色溢れるものあり、何度見ていても飽きない。江戸の黄表紙作家達のストーリーテリングに脱帽だ2011/03/30
aoyami
1
黄表紙のストーリーを追って見る本。文が活字に起こされていて、そのままの文体で内容を読むことができる。それぞれのページには時代背景を交えた解説も書かれている。江戸時代の人々にとって妖怪とはなんだったのかがこの一冊ですとんと理解できた。今まで何となく気味が悪い、恐ろしいものという印象しかなかったのだけれど、妖怪って意外とみんな苦労して生きていて、おもしろい。格好つけない、自然のままの知的存在という印象に変わった。2010/08/28
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