内容説明
男性上位時代を気丈に生き抜いた女性の生涯。―わき子は、打ちのめされた。良人(おっと)は、妾宅をかまえていたのである。…男というものは、狡猾で、不潔で、いやらしいケダモノだった。彼女は、良人が、一時に、遠い他人になって、身辺にいなくなったのを感じた。―美人で名高い疋田家の長女・わき子は、数々の縁談のなかから帝国大学出の医師と結婚する。夫の富太郎は美男の上に寛容、夫の家族もやさしくて、非の打ちどころのない結婚生活が始まった。やがて男の子が生まれるが、病気で亡くなってしまう。富太郎は妻を慰めるために、病院と家を新築。わき子は夫の気遣いのおかげで子を失った喪失感からようやく抜け出せると思った矢先、まじめ一本槍だと思っていた夫に愛人がいたことが明らかになる。はたして完璧だと思われた家庭は、このまま崩壊してしまうのか…。明治から大正、昭和と、女性は黙って耐えるのが当たり前だった時代を、気丈に生き抜いた女性の生涯を描いた大河小説。
著者等紹介
獅子文六[シシブンロク]
1893(明治26)年7月1日-1969(昭和44)年12月13日、享年76。神奈川県出身。近代劇の翻訳、演出、戯曲などを手がけ、劇団文学座を結成。1969年文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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