内容説明
病院を経営する祖父から逃れるように、郷里を出て建築設計技師の原川敏と結婚した美子。画家の卵だった経験を生かし室内装飾家として夫を支える美子だが、子どもが欲しい美子と、子どもには興味がなく、自分のつくる建築物が二人の子どもだ、といわれ続けることに釈然としない気持ちが募っていた。しかし、亡くなったと聞かされていた父の足跡を訪ねる旅に出たことで、平凡だった日常が変わりはじめる。夢に出てきた父に叱咤され、再び絵筆を持つ決心をし、何事にも中途半端だった自分を変えるべく努力を始めるのだ。果たして、美子はどちらの狭き門にたどり着くのか―。舞台は日本だが、随所にフランスを感じさせる佳作。
著者等紹介
芹沢光治良[セリザワコウジロウ]
1896(明治29)年5月4日―1993(平成5)年3月23日、享年96。静岡県出身。東京帝国大学経済学部卒。農商務省に勤務後、ソルボンヌ大学に留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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