内容説明
母との軋轢や葛藤を赤裸々につづった名篇。「私は心のどこかで母の死を願っていたところがあったように思われてきて、その罪の意識におののいた。…心映えの悪い娘として母をくるしませたことも、正直に書くことによって、母の許しを乞いたいと思った。」(あとがきより)小説『斜陽』のモデルであり、太宰治の愛人でもあった母・太田静子。女手ひとつで“私”を育ててくれた母に対して、“私”は「心映えのいい子」ではなかった…。「斜陽の子」として生まれた著者が、その現実に繰り返し突き当り、焦りや怒りをそのまま母にぶつけてしまう。おそらく、普通の親子関係よりも数倍濃密な日々を、赤裸々に綴った一冊。家族とは、愛とは何かを問う、直木賞にノミネートされた名篇。
著者等紹介
太田治子[オオタハルコ]
1947(昭和22)年11月12日生。神奈川県出身。明治学院大学英文科卒業。小説家、エッセイスト。父は太宰治、母は太宰の代表作「斜陽」の主人公「かず子」のモデルとなった太田静子。1967年、紀行文「津軽」で婦人公論読者賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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