内容説明
全財産を盗られたという、パリ旅行中の美しい日本人女性・原田和子。友人の頼みで、出版社の特派員・大木が一日アテンドすることに。やがて和子は、盗難にあったのは嘘だったことを打ち明けるが、大木は少女のようでいて家庭的なところもある和子に心を動かされ―。表題作「愛にはじまる」のほか、若い恋人・尚二と別れようとしている銀座の店主・扶紀子が、まだ揺れ動く心を祭りの喧騒とともに描く「巴里祭」、タイプの異なる二人の男性と付き合いながら、そのいずれとも結婚するのをかたくなまでに拒否する「春の弔い」など、男女の愛欲と旅をテーマにした著者ならではの短篇集。
著者等紹介
瀬戸内晴美[セトウチハルミ]
1922(大正11)年5月15日―2021(令和3)年11月9日、享年99。徳島県出身。1973年11月14日平泉中尊寺で得度。法名寂聴。1992年『花に問え』で第28回谷崎潤一郎賞受賞。2006年、文化勲章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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