内容説明
季節の風物とともに描く家族の絆の物語。―いま息子が望んでいることを、はなからそれは無理というものだ、と諦めさせたくはなかった。ずっと中学校を登校拒否していた瞬が、引きこもっていた家を出て、社会へと足を踏み出そうとしたことはよかったではないか、と斎木は信じたかった。―草木に囲まれ、野鳥のさえずりを聞きながら暮らす小説家の斎木と奈穂の夫婦。あたたかいご近所さんと交流しながら平穏に暮らすふたりのもとに、斎木の先妻との子が家出したという知らせが舞い込んできた。家庭に大きな不満を抱く息子に寄り添い、離婚以来ほとんど会うことがかなわなかった息子との絆を取り戻すことはできるか…。第31回大佛次郎賞に輝いた名作私小説の後編。
著者等紹介
佐伯一麦[サエキカズミ]
1959(昭和34)年7月21日生まれ。宮城県出身。1990年『ショート・サーキット』で第12回野間文芸新人賞受賞。1991年『ア・ルース・ボーイ』で第4回三島由紀夫賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆきらぱ
27
久しぶりに再読。この小学館のP+Dシリーズは手に入りにくい本がずらりとあって便利。しかもお手頃価格で持ち運びしやすい軽さ。佐伯一麦はこの話から知ったなあと懐かしく読む。淡々と進む生活が描かれる中、元奥さんの事は辛辣だなあ。執着している。子ども3人も残してきたのに元奥さんにさして感謝してなさそうなのがスゴイ。3人を1人でそだてるなんて大変だと思うが。元奥さんはあらゆる面で大した言われようだが上の娘さん2人は看護学校に入ったようだし、なかなか頑張ったと思う。下の男の子も落ち着くはず。幸せを願う。2025/03/24