内容説明
大阪府出身ながら著者自ら“青春の地”と称する神戸を、著者の同級生や神戸在住の叔父夫婦、貿易商の郭夫妻らとの交流を通じ、さまざまな角度でとらえていく。会話を丹念に再現することで、戦時中の悲しい思い出や戦後の復興期、ポートピアに沸く人々の華やいだ気持ちなどが手に取るようにわかり、今昔の神戸を描く、著者にとっての「神戸物語」となっている。
著者等紹介
庄野潤三[ショウノジュンゾウ]
1921(大正10)年2月9日‐2009(平成21)年9月21日、享年88。大阪府出身。1955年『プールサイド小景』で第32回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こうすけ
20
神戸の街の歴史を、叔父夫婦や同級生などから聞き取ってゆく、聞き書き小説。おなじ系列の『水の都』では大阪の丁稚奉公を、『流れ藻』ではある夫婦の半生を、とある程度焦点をしぼっていたのに比べて、今作は漠然と戦前から戦後の神戸をテーマとしているので、馴染みのない人間にはちょっと散漫に感じられる。例によって大きなことは起こらないが、戦争の影が随所に感じられるのも庄野潤三節。しかしこれはあまり面白く読めなかった。2024/11/16
くりこ
0
私自身が神戸育ち、亡き母から(神戸育ち)の聞きおぼえもあり懐かしく、胸のきゅんとする情景が目に浮かび、母が生きていたらどれほど懐かしく思い出話ができたことだろうと。 これほどの昔の神戸物語は歴史的にも貴重でこういう形でいつまでも残してもらえるのはありがとい。 ただ、会話や行動のやりとりで進むので、小説としては面白みがなく、神戸を知らない人に取れば面白みにはかけるだろう。2024/08/17