内容説明
獅子文六が描くバロン薩摩の伝記風小説。一代で巨万の富を築いた“木綿王”薩摩治兵衛の孫・治郎八。イギリス・オックスフォード大学に留学後、フランスへ渡った治郎八は、実家の資産を背景にパリの社交界で勇名を轟かせ、「バロン薩摩」の異名をとる。そんなことはつゆも知らない著者・獅子文六は、フランス外遊の際、知り合いのツテでパリの日本学生会館に投宿するが、そこは治郎八が出資した施設だった。さらに帰国後に転居した先も、2軒続けて治郎八ゆかりの住居。著者はただならぬ因縁を感じるが、ふたりがようやく邂逅したのは、治郎八の最晩年だった―。そんなバロン薩摩をモデルに、獅子文六が見事に仕上げたユーモアとロマンあふれる秀作。
著者等紹介
獅子文六[シシブンロク]
1893(明治26)年7月1日‐1969(昭和44)年12月13日、享年76。神奈川県出身。本名・岩田豊雄。新聞、雑誌に多くのユーモア小説を戦前~戦後と連載し、好評を博す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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