内容説明
1957年に発表された単行本デビュー作品。大学在学中に結婚し、夫の赴任地・北京で生活。子どもにも恵まれたが、帰国後に夫と子を残して家を出たというドラマチックな前半生が、9篇の短編に凝縮されている。佐藤春夫、井伏鱒二、三島由紀夫に絶賛され第3回新潮社同人雑誌賞を受賞した「女子大生・曲愛玲」、お産と子どもに関する記憶をたどる「訶利帝母」(鬼子母神)、教育勅語や結婚という呪縛から抜け出し「基礎工事が不完全であろうとも、乏しい資材を駆使して、わたしはわたしの力を振り絞り、じぶんの文学をうちたてたいと思うのだ。」と、この世界で生きていく意気込みを語る表題作「白い手袋の記憶」など、みずみずしい感性で描かれた作品集。
著者等紹介
瀬戸内晴美[セトウチハルミ]
1922(大正11)年5月15日‐2021(令和3)年11月9日、享年99。徳島県出身。1973年11月14日平泉中尊寺で得度。法名寂聴。1992年『花に問え』で第28回谷崎潤一郎賞受賞。2006年、文化勲章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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