内容説明
文芸誌「群像」に連載された、小島信夫の“執念の大作”第4巻。前巻で描かれた、ミュージカルとも前衛演劇ともつかない「夢くさい」世界が、一気に暴走を始める。妻・京子の実子、康彦の担任である女教師・野上と主人公・前田永造の淫靡な世界が繰り広げられたかと思えば、永造は突如として馬になって、王妃が誘拐されたことに端を発するトロイ戦争について考察を始めたりする―。単なる夢でもなく、単なる現実でもない奇妙な意識世界。時間の流れも、舞台がどこなのかも判然としないカオスの極みを描ききる、鬼才・小島信夫の真骨頂。
著者等紹介
小島信夫[コジマノブオ]
1915年(大正4年)2月28日‐2006年(平成18年)10月26日、享年91。岐阜県出身。1954年『アメリカン・スクール』で第32回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
でろり~ん
1
面白いです。支離滅裂な書き方に著者自身が形を見い出したのか、読む側が荒唐無稽に慣れてきたのか。小説にできる事というのではなく、小説にしかできないこと、にチャレンジしたものなんでしょうかね。前妻の向こうにはボッブがいて、浮気相手の向こうには当然その夫がいて、寝取った方と寝取られた方と、その両方に思いを馳せている主人公の思考は、まあ、こんな感じもアリなのかもしれませんね。決定的なことが言えないので、芝居仕立て。ヘレンの新解釈まで持ち出して、まだこれからウダウダ続く、ということなんですね。連載という商売方法?2020/01/04
アレカヤシ
0
作者はまじめに書いているのか?だけど、むちゃくちゃのようでいて、話はつながっている。まるで作者自身が白い粉をのみながら書いているみたい。 書かれた当時は、家・家族というのが、まだかろうじて価値を持っていた時代だと思うのだけど。そういう家とか、夫婦とかが主題だと思っていたけど、なんだかわからなくなってきた。肝腎なところを読み飛ばしてしまっているような気がするけど、面白いからこのまま読み続けます。2020/01/03
-
- 文具・雑貨・特選品
- ロスト・ケア 著者:葉真中顕 表紙:吉…
-
- 和書
- タイムカプセルを開こう