出版社内容情報
夫婦の微妙な機微を描いた初期の意欲作3編
ミリオンセラーとなった『九十歳。何がめでたい』で現在も注目を集め続ける作家、佐藤愛子初期の「ソクラテスの妻」は1963年度の芥川賞候補になった秀作。
これは著者自身がモデルとされた作品で、浮世離れした夫の行状に手を焼く妻の苦労が描かれる。そして、「二人の女」もまた芥川賞候補となり、親友をモデルにした「加納大尉夫人」は1964年度の直木賞候補となった。
いずれもユーモアと深いペーソスに彩られた、色あせることのない珠玉の一冊となっている。
佐藤 愛子[サトウ アイコ]
著・文・その他
内容説明
若き妻と夫の機微を描いた著者初期の意欲作3編。「ソクラテスの妻」は1963年度の芥川賞候補になった秀作。著者自身がモデルとされた作品で、浮世離れした夫の行状に手を焼く妻の苦労が描かれる。「二人の女」もまた芥川賞候補となり、親友をモデルにした「加納大尉夫人」は1964年度の直木賞候補となった。いずれもユーモアと深いペーソスに彩られた、色あせることのない珠玉の一冊である。
著者等紹介
佐藤愛子[サトウアイコ]
1923年(大正12年)11月5日生まれ。大阪府出身。1969年、『戦いすんで日が暮れて』で第61回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パフちゃん@かのん変更
27
金儲けに縁がなく貧乏な文学愛好者にたかられている質屋の経営者ソクラテスとしっかり者で夫の講堂に腹を立てながらもどうにもできない妻。妻の目線で読んでいるとすごく腹立たしい。その後が気になる。2022/01/20
ソーダポップ
20
作家、佐藤愛子さんの初期作3篇を収録。表題のソクラテスの妻。どこか浮世離れした夫と若き妻の哀歓を描いていて、夫婦の心情が巧みに表されている。加納大尉夫人。昭和初期、戦争の足音が聞こえてくる中、優秀な海軍士官の夫と変わり者で粗忽な妻、安代の愛情たっぷりの物語も良かった。初読の作家さんですが直木賞も受賞されていて、著書も多数との事。この方の著書は、これからもどんどん読んでいきたいですね。2020/10/22
ちょん
18
3作品収納。なるほど、恐妻家の話ねー、と思いながら読み進め。妊娠が分かったとたんに愛人の顔が恐妻と同じ顔に見える、という表現には笑ってしまいましたが最後の「加納大尉夫人」というお話は思わず涙がほろり。ちょうど「この世界の片隅に」という映画を最近観たとこだったので、情景が色々かぶってしまった。こういう片隅もあったんだろうなぁと。女として人として夫という男性を大事に思ってたんだろうなぁ、主人公の女の子が少しでも母として生きられてたらいいな、と思わずにいられません。2018/05/09
mariko
1
佐藤愛子さんの別れた夫がモデルであろうと思いながら、たいそうイライラしながら読んだ。 「二人の女」「加納大尉夫人」と3つ入った本だった。2020/03/19
織沢
1
著者佐藤愛子の初期短編集。著者の世に常識として蔓延る事共への懐疑とか怒りを感じた。表題作『ソクラテスの妻』はソクラテスという男の観念的な事ばかり考える部分を濃くしたような奴に対する怒り。『加納大尉夫人』は武人の妻という理想、妻は夫の為に恥を晒してはいけない、親は子に尽くさなければならない等々への怒りを著者が日々感じているんだろうなと思いながら読んだ。ただそんな怒りを抱く世の中で生きてゆく事に作中人物みんながしっかり向き合っているのが流石だと思った。不甲斐ない男である私には良いお説教を受けたように思えた。2019/05/28