出版社内容情報
モモ子と凜子、真摯な看護師を描いた2作品
『小児病棟』は、第1回読売「女性ヒューマン・ドキュメンタリー」大賞優秀賞を受賞し、テレビドラマ化された作品。
主役の看護婦(当時の名称)・モモ子役を桃井かおりが演じ、大きな話題となった。病気や障がいをもった乳幼児の看護に奮闘しながら、次第に子どもたちと心を通わせていくモモ子。ある日、手足を欠損して生まれ、両眼も失ったタロウの担当となる。個人的な感傷は、医療現場では封印すべきなのか――。
『医療少年院物語』は、著者が15年の歳月をかけて取材執筆した渾身の作。現場を訪れては「これは、とても書けない」と何度も挫折しそうになったという。不良仲間との万引きにはじまり、窃盗で捕まりノイローゼとなっていった少年や、テレクラで売春を重ね妊娠した少女など、看護婦と職員が苦悶しながら彼らとの交流をはかっていく。それは、何故彼らが非行に走ったのかという、問題の根源を知ることに繋がっていく。
【編集担当からのおすすめ情報】
92歳を迎えた著者が、本書刊行に際し「あとがき」を執筆しています。
江川 晴[エガワ ハル]
著・文・その他
著者等紹介
江川晴[エガワハル]
1924年(大正13年)3月1日生まれ。東京都出身。1980年『小児病棟』で第1回読売「ヒューマン・ドキュメンタリー」大賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
4
法務教官として医療少年院で勤務することになった夏川凛子の目を通して描かれる少年院に収容される少年少女や看護の仕事。大人に何度も裏切られて大人を信じることができない少年たちに何度となく騙されてもそれでも少年の体調などに心を配る主人公は理想的すぎるかもしれないが、そういう大人が少年院に居てくれることは救いなのだろう。医務課の手伝いを献身的に行っていた少女の話が悲しい。2023/12/11
月灯
2
重たい話だ。医療関係だが、それ以上に少年院での看護。少年院での罪を犯した少年達の心。色々考えさせられ、もどかしくもなった。2016/09/29
ちょこちょこ
1
小児病棟は作者の最初の作品らしく、ちょっとびっくりする部分もあるが。どちらも(二つの作品が一緒になっている)患者に寄り添う、それがきっと大事。でも、誰にでも出来ることではないよね。2016/05/02
のん
0
少年院の子供たちは、親からの被害者の場合も多々ある。加害者が塀の外で自由な生活をしている反面、被害者である子供たちが不自由を強いられるのは可笑しいものだ。2019/10/11