出版社内容情報
中上健次、もう一つの遺作も初単行本化!
「路地」の解体時期に父親(浜村瀧造の朋輩・ヨシ兄)殺しに手を染め、「路地」から逃れた鉄男は、やはり夫・セキグチジュンを殺した女・セキグチマリと出会う。女は鉄男にそれまでと異なった衣装を着せ、ジュンと名付け、ジュンという<物語>を背負わせる。
マリが精神病院の患者同士として知り合った友人で、富豪の”太った女”水島エリは、鉄男を教祖とあがめる新興宗教に加わろうとし、道すがら出会った暴走族の首領の若者も、これまた鉄男の教祖としての雰囲気に惹かれていく。
そして、鉄男、マリ、エリ、暴走族の若者とその妹は、南の地・シンガポールへと向かうのだった……。
中上作品の中でも最もエンターテイメント色の濃い作品で、雑誌「SPA!」に連載中に未完のまま絶筆した。
中上 健次[ナカガミ ケンジ]
著・文・その他
著者等紹介
中上健次[ナカガミケンジ]
1946年(昭和21年)8月2日‐1992年(平成4年)8月12日、享年46。和歌山県出身。1976年『岬』で第74回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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