出版社内容情報
欄外の余白(マルジナリア)鏤刻の小宇宙
強靭な思考力と該博の知識による、マルジナリア(欄外の余白に嵌め込まれた書き込み)の絢爛たる鏤刻の小宇宙・―エドガー・ポーのひそみにならい書き継がれた多彩な断章の集積が、いま異色の読書ノートとして顕現する卓抜なエッセイ集。
著者晩年の雑文集にて、映画「E・T」への考察、作家・石川淳への言及等、多彩な「マリジナリア」が、読書録として纏められている。
澁澤 龍彦[シブサワ タツヒコ]
著・文・その他
目次
1(マルジナリア)
2(アルキメデスの渦巻;パドヴァの石屋;イソッタの墓;サロニカ日記 ほか)
3(記憶力について;『亂菊物語』と室津のこと;石川淳『至福千年』解説;現代の随想「石川淳集」解説 ほか)
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読書という航海の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しょうゆ
5
エッセイというよりは覚書の雰囲気です。断片的な文章の集まりなので、澁澤ファン以外は読んでもよくわからないと思う。澁澤作品にそこそこ触れている私もよくわからない部分があって、そういうものは飛ばし読みしました。(石川淳の話とか乱菊物語とか)様々なジャンルに精通している作者の文章はやはり面白い。E.T.や性差、死刑廃止論などが特に興味深く読めました。2018/09/30
もだんたいむす
5
すごく短いエッセイがいっぱい。作者のことを、まったく知らない状態で読んだのでちょっと微妙。★★★☆☆2015/10/11
undine
1
福武文庫版を読んだ。短いエッセイと覚書のような断片的な文章、コラムを集めたもの。知らない本の紹介とその本の中の人物についての考察がたくさんあった。書かれていることが周知の常識のように乾いた文体で述べられていると、読んでいる自分の無知に恥じ入る気持ちになってしまう。ところどころ自分でも知っていることが書かれていると嬉しくなる。今まで難しそうだと敬遠していた作家だが、他の著作も読んでたいと思うようになった。2025/02/13
ももや
1
得た知識を引き出しにしまうように分類して記憶し、新しい知見に触れたときに、過去に記憶した知識と有機的に反応させ、新しい知見を評価分類して記憶する。こういったことを一生続けた人なんだ。僕は図書館に咲いてためずらしい花の名前も、新聞でよんだ内戦が起きてる紛争地の名前もすぐにわすれてしまう。昨日着てた服も、思い出せない2018/10/29