出版社内容情報
松本清張、幻の作品が初単行本化!
主君・尼子家の再興を願い、大敵・毛利に果敢に挑み暴れた、山陰の戦国猛将・山中鹿之助の、短くもドラマチックな生涯を生き生きと描く。
没落しつつあった尼子家一筋に全てを捧げ、月山富田城を取り囲む毛利元就の大軍を、その抜群の勇力と才智により何度も跳ね返し、武名を高めた鹿之助だったが、最終的に尼子義久が毛利の軍門に下り、富田城を明け渡すことになった。
その後、牢人をしながらも尼子家再興を使命とし、尼子勝久を擁立し、幾度の苦難を乗り越え、石見国入りし新山城を占拠するも、毛利勢との戦に敗れ富田城へ入城することは叶わなかった。
さらに、10年後、織田信長の毛利攻めに乗じ、再び、尼子軍を再興した鹿之助だが……。
100度打ちのめされ、1000回も挫折を味わう壮絶な鹿之助の人生、しかし、進むことはあっても退くことはなかった、その義勇の名は、天下に鳴り響いた。
弊社雑誌「中学生の友」に1年間連載された、松本清張、幻の作品。著者が代表作「点と線」を執筆した頃に同時に描いた、名作が50余年の時を超えて甦る。
松本 清張[マツモト セイチョウ]
著・文・その他
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aloha0307
12
20年以上振りで清張さんを読んだ。本書は生前出版されず、ボーナストラック扱い...but内容は質量たっぷり。 「願わくば、我に七難八苦を与え給え」があまりに有名な尼子氏家臣:山中鹿之助の物語だ。知謀に長ける毛利氏を対極に据え、純朴さを際立たせている。尼子滅亡後、浪人となった鹿之助に生きる道はいくつかあったはず(土着し百姓でも平和な余生)。だが、信長の時代になってまでも尼子再興のため忠義一筋に生きた侠気に感動がおさまらない...2015/10/31
koji
10
山中鹿之助と言えば、尼子十勇士の1人で、尼子再興を唱え四度毛利に挑み、最後は信長に裏切られ吉川元春の手の者に備中阿井の渡しで謀刹された勇猛な武将です。三日月の夜、われに七難八苦を与え給えと言った話は有名。私が興味をもったのは、鹿之助の子新六が大阪の鴻池家の始祖であったこと。この繋がりにびっくりし、早速松本清張の本書を読みました。中学三年生向けで清張らしい毒と切れ味は抑えてありますが、吉川英治の剣豪小説のようにテンポがよく、大いに楽しめました。それにしても、60年前の中学生はこういう小説を読んでいたのですね2017/09/20
クサバナリスト
10
久々の松本清張作品。山中鹿之介、他の小説や去年の大河ドラマ『軍師官兵衛』でも登場したはずなのに全く記憶に残っていなかった。読み進めていくうちに最後の上月城の戦いの場面を他の作品で読んだことがあったのを思い出した。松本清張全集にも掲載されてないのですね、当初、松本清張全集から当作品掲載の巻を借りようとしたのだがなかった。全集に全作品が掲載されているわけではないのですね。2015/07/10
wanjirou
8
★★★鹿之助を中心とした尼子滅亡の物語。山陰や中国地方の地理に疎く、地図で確認しつつ読んだので思いのほか読了に時間が掛かった。月山城や上月城など、地名も何だかロマンに満ちていて、いつか訪れてみたくなった。2016/08/14
笛吹岬
4
1957年に生徒向け雑誌に連載したものとのこと。松本清張がこのようなものを書いていたということで、手にしたが......2015/07/01