出版社内容情報
原爆投下後、石段に焼きついた人影の真実
広島平和記念資料館に展示されている「人影の石」。
それは、原爆の強烈な熱戦で石段に残された黒い影。
これはだれの影なのか?
その人はどうしてそこにいたのか?
原爆投下の後、その人はどうなったのか?
「人影」がだれのものなのか、どうしてこのような形で残ったのか、当時の目撃情報、遺体を収容した兵士の証言などから解き明かす、真実をたずねて伝える物語です。
【編集担当からのおすすめ情報】
物語の中で、人影の石の主と言われている越智ミツノさんは、作者、朽木祥さんの姻戚に当たるそうです。作者は子どものころからこの「人影」の話を聞いていたそうです。事実に基づいて創作した渾身の作品となりました。
朽木祥さんの作品で、小学校5年生の国語の教科書に掲載された「たずねびと」は、多くの子どもたちに読まれていますが、本作品はもう一人の「たずねびと」の物語です。
【目次】
目次
Ⅰ 一九七二年 千鶴 十六歳
1 夏の日
2 レリーフと石段
Ⅱ 一九四五年 幸子 十七歳
1 八月六日 午前七時 佐波郡出雲村 越智幸子
2 八月六日 七時半 広島市皆実町 越智ミツノ
3 八月六日 八時過ぎ 広島市紙屋町 金子正一
4 八月六日 八時十五分
5 八月六日 午前 暁部隊
6 八月六日 午後 少年兵たち
7 八月八日 朝 中央地区警備司令部
8 八月八日 午前 佐波郡出雲村
9 八月八日 午後 廣島へ
10 八月九日 午後 銀行へ
11 八月二十日 廣島市皆実町
Ⅲ 一九九六年 恵美 十七歳
1 名前を取りもどすということ
2 「越智ミツノ」捜索経緯
Ⅳ 一九九七年 幸子 六十九歳
1 記された名前
2 幽霊戸籍と原爆供養塔
Ⅴ 一九九九年 愛子 十六歳
1 市営基町高層アパート
2 展示室の子どもたち
Ⅵ 二〇〇一年 愛子 十八歳
1 解説パネル
2 「人影の石」をめぐる真実
Ⅶ 二〇〇九年 幸子 八十一歳
能美島からの手紙
Ⅷ 二〇二五年 祈 十六歳
石段のかけら
エピローグ