出版社内容情報
江戸末期に豪雪地に生きる民の暮らしを伝えたいと、越後塩沢の地方文化人・鈴木牧之が生涯の大半をかけて著した奇特な書の現代語訳。厳しい雪国の生活など当時の地方社会の全貌が紹介される。
本書は鈴木牧之『北越雪譜』の池内紀版現代語訳22版である。原典は18世紀末、文化文政時代、越後塩沢の一地方人による雪国の克明な民俗記録誌である。雪による過酷な自然生活全般、そのほか縮(ちぢみ)産業、はては珍談奇談にいたる話が挿し絵とともに紹介されている。校訂は山東京伝の弟・京山人百樹で、牧之その人と和漢の教養が豊富にあり、俳人でもあるため描写の適格さ、ユーモアが感じられる。『江戸では雪が降るのが珍しいから雪見の船に妓女を乗せたり、茶会を催したり楽しむが辺境の寒い国に生まれた者は不幸である…』としながら『江戸に出た者10人のうち7、8人が帰ってくる』と、自慢さえする。『初雪で洪水が起こる』すさまじさでゾッとさせるかと思うと、『熊が人間を凍死から救った』ウソのような話。また、鮭の人工受精を着想したり、『狐を捕るのに杭で地中に穴を開け、大根を引き抜くように尾を引っぱる』など、一種読み物的要素がちりばめられている。出版まで40年近くかかったという原典の、独特の表現をいかし、雪にはじまり雪におわる、という牧之の『暖国の人』にもっとも伝えたかった心を反映した、新しい『北越雪譜』である。
内容説明
雪中の絶壁から吊りおろした篭に乗って鯉すくいをしていた男の溺死。熊に助けられて数十日ともに暮らした男。そして知られざる雪中の洪水まで―今からわずか200年ほど前の越後で生きて死んでいった里人たちの記録。挿し絵をふんだんに掲載し、まったく新しく現代語で読むことのできる名著。
目次
「地気」が雪となること
雪の形
雪の深さ
雪の兆し
雪の用意
初雪
雪の量
雪竿
雪を払う
淡雪〔ほか〕
感想・レビュー
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森香
印度 洋一郎
はにゅ
みかちゃん
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- 和書
- なんでこうなるのッ?!