出版社内容情報
SFマリーン・ファンタジー
海から還ってきたアベルは、アリアドに楽器扱いされて大反発。プレイヤーとしてのアリアドの心の障壁とは…?未来を夢見る惑星に約束の歌は届くのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふりや
10
アリアドの感応楽器として共鳴を証明したアベルですが、演奏自体は上手く行かず。その裏にはアリアドの過去の因縁が。原始惑星ナイト・メアを巡るアリアドのトラウマをメインに描かれます。鎌倉を舞台に、宇宙船、夢の世界、未知の惑星など、SF的なスケールの大きさが広がっていきます。第2巻はアベルよりも、むしろアリアドが主人公といった感じでストーリーが進んでいき、感応楽器であるアベル、アリアドの学友であったダリダンの謎が徐々に明かされていきます。シリアスな物語の中にもコミカルな描写や登場人物も多く、面白く読めました。2020/10/05
袖崎いたる
5
名作には名解説が付くもんだな。漫画家の清水玲子がい〜ぃ文章を書いている。私の思索もはかどるよ、ありがたいありがたい…ストーリーのほうも良い。音楽と楽器と共鳴と。最後は精神分析をおこなってトラウマの箱をこじ開けて、プレーヤーの心を寛解させる。オチもまた良い。男同士の友情でもない、所有・使用関係のパートナーとしての打ち解け合いがストンと物語に終わりをくれている。2020/05/19
還暦院erk
4
蔵書再読。なるほどこういうラストか~。『バルバラ異界』では某少年の死が非常に悲しくて「ハッピーエンド」に浸れなかったけれど、これは良かった。とは言っても、この物語でも重要人物の死が前提になっているのだけどね。点描の表現が美しい…。2016/09/24
kamakama
3
久しぶりに読み返しました。現実とファンタジー、シリアスとギャグの間を行ったり来たりする不思議なお話。アリアドとアベル、これからどうなるんだろうって思わせる終わり方って、最近のモー様の作品「AWAY]に通じているような・・・。あとはご自由に想像してみてくださいってことかな。2016/07/29
ゆうたろう
3
一巻でぼやけていたアベルの性格がはっきりして、俄然物語が色彩を帯びてきた。このアベルの底抜けの明るさと底なしのど根性は、フロルにも通じる強烈さがある。2010/04/16