出版社内容情報
三蔵法師のモデルとされる玄奘。若き玄奘が天竺めざしてシルクロードをかけ回る、ファンタスティック西域記。
玄奘(げんじょう)すなわち後の三蔵法師は武芸に語学がとりえという血気さかんな若僧だ。天竺めざして取経の旅に出るが、行く先々で頭を悩ます問題がふりかかる。傑作シルクロードファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はま
24
静祐さんに教えてもらった本。これ面白い!遥か天竺を目指し西天取教へと旅立った玄奘、っていう内容と見せて玄奘の兄・長捷さんを取教の主役に据え、兄貴の通訳として玄奘が登場。史実はそうなんか!と焦ってしまったけど、それはフィクションみたいですね^^;長捷・玄奘兄弟に加えハザク・プラジュニャーカラを加えた四人旅が短いけど楽しかったな~。ハザク、ほんと良いヤツ。『三蔵』って経蔵・律蔵・論蔵の三蔵に精通した僧って意味で、何人かいるんですって!全く知りませんでしたな~^^;2012/05/27
りー
18
まず、仏陀という人がいる。彼は語るのみで、文字を残さなかった。最初の文字化、原始仏典の時点で既に、仏陀の神格化、他宗教との混同が始まっている。玄奘はどんな思いでその仏典を伝えたのだろう。現代ですら命がけの旅。読みながら改めてその思いを考えました。文字を運ぶ、思想を運ぶ、違う言葉に直して伝える、ということ。1500年後、現代の私が、手にとって活字で読めるという事実。武者震いのような震えが走りました。玄奘の温もり・熱が伝わる、とても優しい物語です。下巻も続けて読みます。2020/04/14
そらねこ
10
再読・全編の感想を。すっごくすっごく好きな漫画です。繰り返し繰り返し読んでしまいます。僧としては未熟で血気盛んな玄奘が兄の供として旅に出て様々な人々や試練に会う度、人間として成長していくお話です♡ 一つ一つが宗教としての在り方や人間の在り方を問うていてとても良い話ばかりです。 ただ…御免なさい~、旅先で親友となったハザクとの友情がとっても素敵でブロマンス的な邪な目でついつい読んでしまいます♡いやいや、私だけじゃないハズです…(ノД`)・゜・。2016/06/15
帯長襷
6
なぜだろう。3度目なのに今回が一番泣けてきた。物語の筋を追うことに執着していたのが、もう少し深く考えられるようになったのだろうか。宗教が生きるのは人の心、そして伝えられ残ることで生き続けている。同じように兄が弟に託すことで残る思想がきっとあったのだと思う。2017/05/06
旗本退屈苺
5
何がその人の幸せかは他人がはかれることではないのだ、幸も不幸も外だけでなく己の内にも存在する。長しょうの幸福って凄いなとただただ感嘆。年取って、前とは感じいるところが違って、長しょうの幸福を思って泣きました。玄奘にとって兄との繋がりは今までの世界、己との対峙で、ハザクは新しい世界なのかなと思ったり。 2011/08/24