出版社内容情報
血とバラのエッセンス、そして愛する人間を仲間に加えながら、バンパネラ達は永遠の時を生きる。少女まんが史に残る歴史的名作。
1959年、西ドイツ。川の中州にあるギムナジウムにエドガーとアランが現れた。天使を待つ少年ロビンを2人は迎えにきたのだが…。美しい季節の少年たちを襲う魔の5月の伝説「小鳥の巣」、バンパネラ・ハンターとエドガーの肖像にまつわる悲劇「ランプトンは語る」、エヴァンズの末裔にアランが恋する最終章「エディス」…。時を超えて生きつづける、はるかなる一族を描いた超名作の完結編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
101
時代は1959年になっており、舞台は西ドイツのギムナジウム。エドガーとアランの展開にこれぞ少女漫画だなと思いながら読んだ。2巻目ほどは引き込まれなかったものの、一番耽美な世界を描いていた今巻だった気がする。全編通してセリフが詩的で、印象深い言葉もいくつかあった。でも泣くような感動とか、生き様に共感するとか、個人的にそういうことは全然なかったけれど、一度読んでおきたいと思っていた作品だったので、読めて良かった。それにしても子どもの姿のまま100年以上も生きながら、精神だけ妖艶になっていくって実際は辛そう。2013/11/14
mii22.
53
再読。久しぶりというか子供の頃読んで以来だけど、今読んでもその美しさや独自の世界観は同様だった。すごい作品ですね。永遠の命を持つものが抱える底知れない孤独。エドガーをみていると胸をぎゅっと締め付けられる。私たち人間は生まれた時から命には限りがあり、いつか自分がいなくなることを当然のこととして受け入れ人生を送るわけだけど、ポーの一族のように歳をとることもなく終わりのない時の旅人となることに今の私には悲しみと孤独しか考えられない。2021/05/05
ちゃりんこママ
50
連載が再開された時「『小鳥の巣』までで良かったのに」と言った人がいた。つまり、この物語の最後なんか知りたくなかった、エドガーとアランに永遠に存在していて欲しかったわけです。私もシリーズの中では「小鳥の巣」が一番好きなんですよね。ランプトンが載った美術書を探しましたっけ…ラストはドラマとして完成形ですけど、私の周りでは連載最終回で「禿げのじいさんがラストなんて!」ヒス起こす子もいたくらいで、少女読者にとっても残酷な、萩尾先生の大人の幕引きだと思いました。2014/07/26
Y2K☮
41
現時点における最終巻。「小鳥の巣」は「トーマの心臓」を思わせる、鋭くて儚いガラス細工の世界観。全体的には永遠の若さから生じる心の歪がアランに目立ち始め、それをエドガーがいなしたり宥めたりという感じ。森博嗣の「スカイ・クロラ」シリーズに何らかの影響を与えた部分か。ところで来週出る「月刊フラワーズ」に新作の前編が載るそうだ。舞台はいつの時代になるのかな。できればエドガーとアランが21世紀の社会に触れて何を感じるかを見てみたい。でも回収されていないと思われる伏線が一つあるので、もしかしたら主人公になるのは・・・2016/05/20
kagetrasama-aoi(葵・橘)
37
第三巻。「小鳥の巣」「ランプトンは語る」「エディス」の三編。もー様の描くギムナジウム、そして“だれが殺したクックロビン…” ちょっとミステリー仕立ての展開が大好き。あとの二編は、バンパネラとして存在している(していた)エドガー、メリーベル、アランの総括らしき話。数百年、名前を変えずに旅しながら暮らすのは存在を残したいのかな?アランが思春期のままなのが美しくて哀しい。エドガーはずっとお兄さん!エンディングは儚く、哀しい。きっと今も何処かにポーの村があるんだと信じて、読了。2021/01/10