出版社内容情報
ライラックの茂みの中で始まった、ヴィーとビリーの幼い恋。しかし幸福は不意に終りを告げ、第1次大戦の暗い渦が時代を覆う。失意の日々、見上げる空には希望のありかをさししめすかのように、いつも飛行機が高く飛んでいた……。傑作長編の表題作ほか、世紀末ロンドンを舞台に錯綜する恋愛劇が進行する「ばらの花びん」、少年と青い瞳の少女の時を超える悲恋物語「マリーン」を収録。
ライラックの茂みの中で始まった、ヴィーとビリーの幼い恋。しかし幸福は不意に終り、大戦の暗い渦が時代を覆う…。傑作長編の表題作ほか、世紀末ロンドンを舞台に恋愛劇が進行する「ばらの花びん」他を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
45
お借りした本。萩尾望都さんとの対談集の中で、羽海野チカさん自身が触れていたハチミツとクローバーの続きが気になり手に取った作品。動機は不順かもしれないけれど、実際に読んでみると萩尾望都さんの世界観に夢中になっていた。表題作では、主人公ヴィーの、女性、母親、社会人としての それぞれの顔が見事に描かれており、周りの男達が惹かれていく理由も納得がいった。ただ、ヴィーが結婚して子供が出来ても一途な思いを変えないビリーには納得出来ない部分もあった。実際に、同様な状況で独身を貫いている男性を見た事があるから。2017/11/12
パグレオン改めトニカマ坊や
19
時代の流れとか物語の展開や表現、どれをとっても美し過ぎるくらい美しいんだけど、読み心地は自然。すうっと世界を受け入れられちゃう説得力があるんですよね、萩尾さんの絵や言葉は。余計な力が入っていない、洗練されたパワー。なるほど、物語のリアリティってこういうことか。2015/09/27
カキ@persicape
10
ハチクロの続きはゴールデンライラックだとの羽海野チカの発言を対談集で読んで購入。まず表題作、名作だ。ハーバート素敵すぎて泣ける。「そんなことはいいんだ。わたしのほうは一番愛していたんだから」名台詞です。愛するってなんだ?生きるってなんだ?と考えさせられる。ハチクロファンの必読本かと。続くばらの花びん。これも秀作。人間ドラマが濃くて読み応えあり。セザンヌの行く末が気になるな。そして何と言っても最後のマリーンが大好き‼︎ジャックフィニィみたいなファンタジー入ったSF短編が大好物な私はズキューンときた。2016/11/30
有理数
9
長編+中篇2作が収められた萩尾望都の作品集。萩尾望都が漫画家、物語の語り手としての道を選んでくれたことにひたすら感謝したくなる、そういう類の余韻が心を包む素晴らしい作品たちである。何といっても白眉は表題作「ゴールデンライラック」。二十世紀初頭のイギリスを舞台に、第一次世界大戦勃発という歴史の唸りの最中、目まぐるしく運命に翻弄される男女の人生と愛を描く。幼き頃に胸に留めた言葉、たった一度だけ見た笑顔……相手が憶えていなくても自分だけは憶えている愛おしさ。それは切なく柔らかに命を繋ぎ、信念となり、希望になる。2024/02/20
yk
7
あーおもしろかった。ゴールデンライラックは最後感動もしたんだけど、でも男からするとヴィクトーリアってちょっとずるいよなー、と。かわいいは正義なー。ばらの花びんはミッシェルとマルスがゴニョゴニョなったのがわからん。。マリーンは何とも儚げでした。悲しい。2020/01/21