出版社内容情報
ヒュールリン・ギムナジウムの転入生エーリク。そこで彼は自分の分身トーマに出会った。2人を結ぶ罪と愛の秘密とは…。名作「トーマの心臓」の原型となる「11月のギムナジウム」、12年の後にめぐりあった双子の兄妹の歌声がイブの夜に流れる「セーラ・ヒルの聖夜」、少女と3人の妖精のメルヘン「塔のある家」など7編を収めた魅惑の初期短編集。
ヒュールリン・ギムナジウムの転入生エーリク。そこで彼は自分の分身トーマに出会った。2人を結ぶ罪と愛の秘密とは…。名作「トーマの心臓」の原型となる「11月のギムナジウム」他7編を収めた魅惑の初期短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃりんこママ
52
「ポーの一族」シリーズ「トーマの心臓」連載で人気ブレイクする前の初期短編集。トーマの連載前に年上の漫画友達から「『11月…』を読んでおけ」と言われてコミックスで読んだトライアル作品。寄宿学校が舞台なのは少女漫画としては目新しかったが丁度それ以前にモデルになった仏映画「悲しみの天使」を偶然にも観ていたので、内容的には関心が薄かった。他の短編もそうだが肉親の情愛もので、現実の機能不全家庭の子どもにとっては甘い感傷でしかない。それでも「秋の旅」と「白い森白い少年の笛」は共感でき、今読んでも短編映画のようで珠玉。2014/08/27
tulip
33
【図書館本】7つの短編集。『11月のギムナジウム』は『トーマの心臓』の元になった作品なのでしょうね。こうして読むと『トーマの心臓』の世界がより深められ、研ぎ澄まされて描かれたというのが解ります。『もうひとつの恋』はシェークスピアの喜劇のような作品。他、複雑な出自や家族関係に悩む少年少女の繊細な心を描いた作品が収められており、改めて萩尾望都作品の奥深さを知りました。2025/05/17
Shimaneko
23
この季節になると再読したくなる萩尾望都のギムナジウム物。構想自体は先だったらしい原型の『トーマの心臓』より、シンプルに凝縮した短編バージョンのこっちのほうが昔から好きだったなぁ。で、芋づる式に『訪問者』とか『小鳥の巣』を経由して、結局ポーの一族まで読みふけるとゆーお決まりのコースを、秋から冬に向かう頃、毎年一度はやってる気がする。2014/10/23
パグ犬
22
レトロ調の絵が、優雅な雰囲気を感じさせる。血の繋がらない親子や兄弟の話しが多く含まれた短編集。家族の繋がり方は様々。根底に愛情さえあれば、壊れることもない…。他の作品も読んでみたい。2016/05/02
mymtskd
18
「11月のギムナジウム」は「トーマの心臓」に似て非なるパラレルワールドの作品.同じ顔で同じ名前の登場人物たちはまったく別人の設定です.不朽の名作「トーマ~」と比べるとストーリーやモチーフにちょっと時代を感じるけれど美しくまとまった短編として十分読み応えあります.同時収録の短編も細やかな心情を描く秀作ばかりで,「秋の旅」「塔のある家」など切なくてジーンとしてしまいました.2016/04/13