出版社内容情報
立て続けにヒースを悲劇が襲う。イーヴがホテルの窓から墜落死したのだ。だが、イーヴの死に不審をもつ警察は、ヒースを有力容疑者として調べ始める。ヒースは窮地に追い込まれるが、友人たちの協力で真犯人を突き止めた。そして…。西のカリフォルニア、東のニューヨーク。アメリカの両岸に生きる若者の夢と現実を描いた青春ロマンの完結編。番外編、「夢の園」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
70
完結巻であるこの4巻、読み始めてすぐにガツーンっときた。しばらくハッピーな作品を好んで読んでいたせいもあるけれど、ハラハラさせられた展開とヒースの焼け爛れるような気持ちが痛々しく、読後しばらく呆然としてしまった。儚さとほろ苦さとでどうしようもなく哀しいイーヴ。彼自身の口から言わせたセリフからじゃなく、人づてに聞くその心情が切なすぎる。そしてヒースはどこかであたたかい愛情に包まれ、安心して過ごしてくれていたらと願わずにはいられない。最後の、ヒースの兄から観た番外編に救われつつ、でも現実を思うと悲しすぎた。2013/06/03
hiro
64
完結編の第四巻。カリフォルニア生まれで裕福だったヒース、ニューヨーク生まれで貧しかったイーブと対照的なふたりだが、温かさのない寂しい家庭で育ったところが共通していたふたりのニューヨークでの同居生活に、こんな別れが訪れるとは思わなかった。そしてニューヨークを出て行ったヒースはどこへ向かったのだろうか。やはり暖かい土地を目指し故郷のカリフォルニアか、それとも『真夜中のカーボーイ』の主人公のようにフロリダだったのだろうか。読了してニューヨークの寒さが身にしみた。 次は『BANANA FISH』を読もう。2016/07/10
青龍
18
中古書店で購入して、久しく積んでいました。ああ、懐かしいなあ。連載当時の少女漫画で、ハッピーエンドになっていない(バッドではないけど)作品は、そう多くなかったから、かなりショックだったのですが、今読み返しても、異色作だったのだな、と思えます。本編で少しだけ見えている、兄の思いが、番外編ではっきりしてくる... 彼が死ななかったら、40代50代になった頃は、若い頃の気持ちのスレ違い等、二人にとって、懐かしい思い出として昇華できたでしょうに。2015/05/09
モルテン
11
衝撃的な始まり方をする4巻。それまでと雰囲気が変わり、シリアスなミステリの様相も呈してくる。主要人物(たち)の死もまた吉田秋生作品の特徴である。死に際して、主人公たちの失われた父の代わりの人物の存在感が増すのもまた特徴で、私は『海街diary』を思い出した。ラストは『吉祥天女』のラストを彷彿とさせる。つまり、吉田秋生作品は同じ物語の繰り返しといえる。若い頃のトゲトゲしさが丸くなったのが『海街diary』だと私は捉えている。いやしかし『カリフォルニア物語』面白かった!若い頃に読んだらもっと影響受けてただろう2021/01/30
あさひ
11
やっぱり吉田秋生の青春の葛藤が好きだ。内容も殆ど忘れていたので、新鮮に読めました。傑作。ピーターとジェンキンス警部が出たきたのにはビックリ。2017/06/19