出版社内容情報
愛を表現できぬもどかしさから、少女にせまった少年が見た紅い花とは?人生の哀歓を描く作者の代表的傑作選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とみやん📖
9
つげ義春ワールド全開の作品群だった。旅先での物悲しい出会いや出来事が中心。雪深い土地や山深い土地、温泉、海など、自然を感じることができる。あとがきでの本人のコメントによれば、井伏鱒二が好きとのことたが、影響を受けているのが分かり、収穫だった。 それにしても、日本の地方の懐かしい風景が、漫画となって残されていて、写真や絵画と異なる風合いながら、つじ作品はきちんと記録性を有していると思った。2020/11/08
勝浩1958
3
不思議な世界観でした。2023/12/15
antidog
1
○22009/08/16
09z1!
0
紅い花はわずか十五ページの短い作品だが、サヨコと旅人、マサジの三名がどういう背景で邂逅し、どこへ向かうのか、くどくど説明もしない作品だが、読み手のイメージに委ねる作品。過去に映像化もされ、佐々木昭一郎さんが手がけた記憶がある。古本屋と少女も銀河ドラマになり、幼少期に垣間見た長期記憶がある。海辺の叙景は切ない中にも、森田童子の歌詞の世界に通じる抒情が漂い、2人の男女が名乗らないまま夜の海で再会し静かに最後の見開きページで唐突なエンドマークを打つ。何度再読しても飽きない作品集である。2021/10/20