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出版社内容情報
こころ優しき天才、最澄に降りかかる苦難
山籠りを続ける最澄。
正しさを説く彼を慕う者たちが次々と集まるが、ある日、その正しさを揺がす事件が起こります。
一方、都ではサプライズ人事で王になるべく生まれていない、桓武が帝になります。
不安が蔓延してゆく日本の中枢で、人々に求められたものは果たして何か――
空海、最澄ふたりの天才を描く話題作、待望の第2集の登場です!
世界を変える男たちの物語がまた一歩、動き始めます。
【編集担当からのおすすめ情報】
掲載誌である「月刊!スピリッツ」6月号(2015/5/27発売)記事頁の
山岸凉子先生との対談をきっかけに、単行本帯に「『日出処の天子』を
描いていた頃の熱を感じます」という推薦コメントを頂いてます!
『阿・吽』は第1集では「我を満たせ」と叫ぶ空海が目立っていましたが、
第2集は「正しさとは何か?」と問い続ける最澄がメインです。
凡人といえる弟子たちに囲まれた最澄は、愚直なほど清らかなゆえ、
周囲に波紋を生じさせます。そう、愚直なほど清らかなゆえに。
こころ優しい天才・最澄の宿命に、心揺さぶれることを保証します!
六話 灯 ・・・・・○○一
七話 散花天女 ・・・・○三九
八話 慈雨 ・・・・○七七
九話 薬師如来 ・・・一一五
十話 桓武 ・・・一五三
十一話 邂逅 ・・・・ 一九三
おかざき 真里[オカザキ マリ]
著・文・その他
阿吽社[アウンシャ]
監修
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
37
最澄は自分を堕落させようと女性を送り込んできた母であっても、人殺しをして食べ物を手に入れた男であっても、仏教により全ての人々が救われるべきだと考えている。しかし仏教というのは一つの決まった教えである。その教えが、様々な体験をして一つの側面においても異なる意見を持つ、全ての人に有効か。彼の心が波立てば経典の文字も浮足立ち時に体全体を文字が覆ってしまうなど、経典の文字=教えが最澄と一体となったかのようなカットが2か所ほど登場する。文章修行ではなく実践修行を重んじた空海との相違がはっきりと出ており興味深い。2015/06/25
瀧ながれ
27
能力と理想が高く、自らどこまでも昇ってゆける天才・最澄。まばゆく人を惹きつける存在だけど、同時に凡人に限界を突きつける残酷な刃なのだな。煌々と輝く最澄の足元だからこそ繰り広げられる人間の醜悪な行動。自らが生きるか死ぬかという究極の選択。それでも人は救われるべきなのかという絶叫。答えられない。たぶん、人間が人間社会で暮らす限り、答えられない問いを、最澄は問い続けるのだ。後半、桓武天皇や和気清麻呂など、日本史でおなじみの名前がキャラクターになって登場して、おもしろさと不穏さでのたうちまわる…。2019/04/24
白玉あずき
27
おかざき真理さんって、女性のお仕事・恋愛漫画描いていた人だった筈。最澄、空海さん登場とのことで、ありがたい気持ちになれる漫画かと思ったらとんでもなかった。これはちと重過ぎる。残虐なシーンや人間の悪魔性をこれでもかと描かれると、よほど心身の健康な時でなければ悪影響がありそうだ。一般人に安心立命の境地は遠いが、ひと時の安らぎをもたらす漫画を探します。目に美しい物だけ見て、耳に優しい言葉だけ聴いて生きていきたいなあ。和顔愛語... これって、もしかして年度末気分?それにきっと腐った永田町の影響もあるぞよ。2018/03/14
りらこ
22
タイムスリップしたのか?という生々しさ。実際はもっと酷かったんだろうけど。善悪の境界が曖昧で、自然の脅威が前触れもなく、疫病天災そして人災。あれ?こう書いていると今も同じ?予測不可能ではないのに手が打てない部分があることは認めざるを得ないだろうね。そこに宗教が生まれつつあるあの時代を、いやもともとある仏教なのだけど、大乗仏教からの変換を人の視点で描いている。綺麗事ではないところがすごい。そこに救いはない世界。救いは人の心の中にあるのかも。2021/08/14
鯖
22
最澄と空海が主人公だけれど、この巻はほぼ最澄を描いている。最澄も空海と変わらず天才かつ努力家なんだけれども、空海と同時代に同じ世界に生きてしまったことが辛いんだろうなあ。しばりょの空海の世界を昔、四国を旅しつつ読んだのですが、龍馬や土方歳三といった天才肌の人を好んだしばりょが空海を描いて、そちらが好みだったのも分かったような。しばりょは血反吐を吐き、のたうちまわるような修行や苦しみを描かず、主人公がある日突然大剣豪やいっぱしの思想家になってるもんな。桓武帝の卑小さにここまで描いちゃうのかとビビりました。2015/05/27