出版社内容情報
前にも後ろにもない“女”の漫画道!
漫画家・上田としこ。1917年(大正六)生まれ、2008年(平成二〇)没。
日本にまだ誰も「女」の漫画家がいなかった時代。上田としこという素っ頓狂な少女は漫画家を目指す。昭和初期、当時少女雑誌で中原淳一と人気を二分していた挿絵画家の松本かつぢへの弟子入り。絵の勉強のため、クロッキー研究所、スイス人画家コンラッド・メイリの教室にも通うようになったとしこだったが、絵を描けば描くほど、絵がわからなくなるのだった。そして時代は戦争に傾斜していき……?
漫画の、日本の、女の、「青春」を描く待望の第2集!
【編集担当からのおすすめ情報】
2013年9月に単行本第1集が刊行され、新聞、雑誌等多数の書評欄で絶賛された作品の第2集です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かっぱ
38
【レンタル】ハルピン育ちというのはそんなにも違うのか。編集者の石永からとしこの絵はバタ臭くて庶民らしさが無いと言われる。そして防火訓練では周囲のおばさん達から、戦時下にもかかわらず赤いレインコートにパーマをかけていたのでアカパーちゃんと呼ばれる。真珠湾攻撃の開戦からわずか4か月でB25によって東京に空襲が。この空襲で39人が亡くなる。としこにとって自分と同じ女流漫画家がもうひとり。長谷川町子のことである。2017/05/13
やっぱり本が一番良い寺
36
マンガ上田としこ伝。女性漫画家のパイオニアの一人だが、この巻ではまだ見ぬ長谷川町子をたびたび意識するとしこの姿が。戦争の色が濃くなり、国民の生活にも余裕の様なものが無くなっていく。中原淳一の連載も無くなる。新しい仲間との出会いや別れ。有名人としては政治諷刺漫画家の近藤日出造が登場。この漫画、今のところまさしく朝の連続テレビ小説そのものである。しかし、朝ドラくらい面白いものもなかなか無い。2014/03/20
みやび
14
上田としこの半生の二巻。戦争と仲間の死。戦時中でもとしこは絵を描き続けたし、ハイカラなカッコをしていたんだ。戦時中のイメージって、防空頭巾をかぶって、投下される爆弾から、毎日逃げているんだと思っていた。けど、としことその仲間たちは絵を描き続けてるし、絵の師匠メイリさんも住みづらいけど、ちゃんと自分の家で暮らしてる。漫画も発行されているし。戦時中の生活が垣間見えた気がする。初恋?の藤岡君が亡くなった時は悲しかった。これもリアルな話なんだよね。2014/04/05
みんにゃりん
13
戦争が深まってきて、パーマネントに赤いコートのとしこは目立ち浮いた存在に。それでもクロッキー研究所やメイリ先生の所ではそうでもなかったのかな?当時は女性が働いても父親から仕送りしてもらった金額の3分の1にも満たなかったのだとか。としこさんはとてもお嬢様だったようだ。2015/07/07
還暦院erk
10
主人公の躍動感が魅力的。そして「フイチンさん」は今見ても素敵なキャラだと思う。「マンガ的動き」がコマの中で縦横無尽に展開して読者をくぎづけにするってのは、背景のトーンや効果線に頼り過ぎな最近の漫画では少なくなっている気がするなぁ。2015/12/03