出版社内容情報
日本にはまだ「女の漫画家」はいなかった！
漫画家・上田としこ。1917年（大正六）生まれ、2008年（平成二〇）没。
これは、まだ誰も歩いたことがなかった「女流漫画家」という道を拓いた
一人の実在した「女」を主人公とした物語である。
上田としこという一人の素っ頓狂な少女が、
戦前の満州ハルピンの高く広い空に、想像の絵を思いうかべた時から、
日本の、女の、「漫画の歴史」ははじまったともいえる。
村上もとかが渾身の力を込めて描く、漫画の青い青い春。
待望の単行本第1集！
【編集担当からのおすすめ情報】
膨大な資料、史料、数多くの関係者への取材を重ね、村上もとか氏が満を持して描く「もうひとつのまんが道」。「漫画家漫画」の決定版です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
52
漫画家の上田としこの伝記的作品。満洲のハルビンで生まれたとしこが女流漫画家という道を切り開いていく。当時の国際都市だったハルビンでロシア人やユダヤ人、中国人の住む町で育ち、やがて松本かつぢに弟子入りするも、絵を専門的に学んだことがなかったため、クロッキー教室に通う日々を過ごすところまでを描いている。戦前の満洲の様子が生き生きと描かれている点も興味深かったし、長谷川町子など懐かしい漫画家の名前も登場して楽しく読むことができた。2025/03/31
災害大嫌い美少女・寺
37
その昔『フイチンさん』という漫画を描いていた女性・上田としこの物語。まだ連載中なのでどうなるのかわからないが、今のところ朝ドラの様である。しかしこれからたくさんの悲喜劇や感動があるのだろうと期待させられる。上田としこという人物をよく知らないのだが、知らないままにしておこう。期待大。2013/11/15
天の川
21
上田としこさんのシンプルで柔らかな線で描かれた主人公がいきいきと活躍する漫画に出会ったのは、子どもの頃に田舎の親戚の家のお姉さんの所蔵していた古い漫画雑誌（たしか｢りぼん」）でした。タイトルは忘れましたが、田舎に行く度に取り出して読んだ記憶があります。古い雑誌だったので、その後上田さんの漫画に出会うことはありませんでした。本書の村上氏の思い出と少し重なり、滑り出しから懐かしい思いで一杯に…。戦前の満州からスタートする本書、激動の時代を生き抜いた女性漫画家の先駆者である上田さんの人生に興味津々です。2013/12/02
ツキノ
16
本選びの会の共同企画会議で他部門の方と一緒になったとき「漫画が好きならぜひこの作品を読んで！」とおすすめされて、その帰りに寄ったジュンク堂で購入。とても丁寧な絵で躍動感もあり好感が持てる。ぶ厚い『フイチンさん 復刻愛蔵版』を書店で見かけたばかりだったのでなんともグッドタイミングなおすすめだった。うれしい！2015/08/01
アリクイ
15
題材が面白いなと思ったので購入。村上もとかさんによる、上田としこさんの伝記マンガ。村上さんが憧れた人の足跡をたどっている点でもう満腹です。描かれている世界が夢のようですが、緻密に資料や伝聞など集めて描かれたんでしょうね。この１巻は過去、戦前のマンガ界の最先端を味わえます。このマンガ、朝ドラで観たい。2013/10/22
