出版社内容情報
還暦を迎えた小学校の同級生、時世とミハル、待子、のおばさん3人組の同居生活から始まる日常の人間ドラマ。3人を取り巻く人々も含めた全登場人物の葛藤、愛、生きがい……淡々と描かれる各シーンの鮮やかな心理描写で共感を与えながら、現代社会における“家族の在り方”をリアルに描く。
▼第1話/小さな庭▼第2話/他人のいびき▼第3話/ひとり娘▼第4話/別れ▼第5話/男の我慢・女の不満▼第6話/戻れない道▼第7話/思い出小箱▼第8話/いつか…いつでも▼第9話/真実●登場人物/菅ミハル(長唄の師匠/芸者時代に出会った男の二号さんとして生きて来た)、坂本時世(塾の講師/独身を通し、定年まで小学校教師をしていた)、潮田待子(旧姓・森川/見合いで結婚して以来、平凡な主婦を続けてきた)●あらすじ/小さな庭のあるボロアパートで時世と二人で暮らすことを決めた安藤は、その夜家族に同棲の件を打ち明けるが息子に猛反対されてしまう。かたや時世は、自分がマンションを出ていくことでミハルにすっかりすねられてしまう。が、安藤が挨拶に訪れた際には、「ちゃんと時ちゃんを抱きしめてあげてくださいね」と祝辞を贈るミハル。そして引越当日、二人の暮らすことになったアパートにミハル、待子とともに笑子が訪れ、ささやかながら5人で祝いの夕を過ごす(第1話)。▼時世と安藤のアパート暮らしが始まった。他人に頼らず生きて来た二人だけに、多少のぎごちなさも残っているのだが、それなりに幸せな日々が続いていた。ある日、時世はミハルと待子のマンション