出版社内容情報
珠玉の短編で綴る日本漫画の表現の歴史!
選者にいしかわじゅん、江口寿史、呉智英、中野晴行、村上知彦、山上たつひこ(五十音順)の6氏を迎え、日本の漫画を彩った幾多の短編の中より選び抜いたアンソロジーを編年体でお送りします。第三巻は百花繚乱の70年代をセレクト!かわぐちかいじ、松本零士、ジョージ秋山、上村一夫、実力者達の知る人ぞ知る短編を収録!
【編集担当からのおすすめ情報】
いしかわじゅん、江口寿史、呉智英、中野晴行、村上知彦、山上たつひこが選んだ珠玉のアンソロジー。一筋縄ではいかない選者達がこれでもかと選んだ短編達。他ではなかなか見られない日本の漫画の多様性をお楽しみください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
26
高度経済成長の歪みが数々の事件に影を落としていた1970年代前半。漫画家達はその影を感じ取りながら、自身の漫画表現の革新へと繋げていく。安部慎一や鈴木翁二には、その時代の気配が濃厚なほどに立ち込め、それでいて読みどころは独特な画であり表現なのだ。かわぐちかいじ「直次郎哀歌」は、いしかわじゅんが解説で指摘している通り、それまでとはまったく違ったタッチとコマ割りで、それもまた時代を敏感に察知してのことなのだろうが、それ以上にかわぐちの漫画家としての野心の賜物のような気がする。(つづく)2021/07/04
阿部義彦
25
この巻は今までで最高の出来だと思える作品ばかりです。安部愼一の「美代子・阿佐ヶ谷気分」と鈴木翁二の「オートバイ少女」が同時に読めるんですぞ!他にも諸星大二郎、山上たつひこ、かわぐちかいじ、永井豪などの大御所の作品が目白押しで読み終わるのが惜しいくらいでした。1971年から1974年までの作品を収録しています。解説のいしかわじゅんさんの熱のこもった文章も素晴らしいです。ここまで読んでもなんと言っても「ガロ」で描いてた漫画家の影響力は半端ないものがあるなあと今更ながら思います。本当に粒ぞろいな人選です。2021/12/24
Nao Funasoko
25
読メで知った本シリーズの刊行。1巻から時代を追ってではなく、私がマンガと出会った70年~にあたる3巻から読みはじめることとした。 とはいえ、当時青年誌を手にするわけも無かったので収められている作品は初読だったり後年になって単行本によって出会った作品ばかりだ。 収録作品はいずれも作家の心模様だったり変遷だったり、或いは時代の空気感みたいなものが伝わってくるようなものばかり。 信頼のおける選者陣による良質なアンソロジーとなっている。 2021/07/02
mittsko
10
第2巻からすれば、ぐっと読みやすくなった。そして面白い!まさに傑作ぞろい! ボクが慣れ親しんできた漫画文法は、この時期(70年代前半)にできあがったのが分かった。実際、本巻になってはじめて、既読作品が含まれていた(全12篇中2篇も)。その2篇、永井豪「ススムちゃん大ショック」、諸星大二郎「不安の立像」はやっぱり面白く、それらと並んで、辰巳ヨシヒロ「地獄」、鈴木翁二「オートバイ少女」の初読二作品がとくによかった! ※ 所収作品の初出は71~75年。作者は当時20~36歳。いしかわじゅんの「解説」が手際よい。2021/08/04
コリエル
8
ジョージ秋山はこれ銭ゲバとかアシュラの後に描いた短編なのか。まさかのラスト2ページでハッピーエンドに驚く。永井豪の『ススムちゃん大ショック』は昔何かの単行本で読んでショックだったな。藤子不二雄の短編にもこんなのがあったが共通のモチーフが存在しそう。かわぐちかいじの『直次郎哀歌』が今とは似ても似つかぬ絵と話で、人の変化に思いを馳せさせる。2021/11/18
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