出版社内容情報
泰平の徳川時代。華やかな歴史舞台の裏側で厳しい封建社会を生き抜く者たち。彼らの喜び、悲しみ、そして怒り。悠久とゆるやかな歴史の鼓動が聞こえる感動の超大作第2部。
▼佐渡守〔二〕(諍乱/五百棲ヶ原)▼念者〔一〕(謀反/旗本奴)●登場人物/ 錦丹波(幕府直轄地・日置領代官)、鞘香(丹波の娘)、稲富一心(丹波の片腕)、望月佐渡守(猿投沢藩主。兄・常陸守の領地を狙う野心家)●あらすじ/父である日置領代官・錦丹波と共に江戸へ帰ることになった鞘香は、友人の加代の所へ別れの挨拶に行く。しかし借金のかたに奉公に出されてしまった加代はもう家にはおらず、鞘香はいそいで加代の奉公先へ向かう。しかし口入れの男に騙され、岡場所へ売り飛ばされそうになった加代は、黒崎一家というやくざ者の男たちに監禁されていた。男たちからやっとのことで逃げだした加代は、助けに来た鞘香と一緒に山へ逃げ込む。しかしそこは、一度入り込んだら二度と抜け出すことができないと恐れられるという樹海だった……。鞘香の遭難を知った丹波は山狩りを始めようとするのだが、望月領に深く入り込んだ五百棲ヶ原で捜索をするには領主である佐渡守に挨拶をしなければならない。幕府直轄地の代官である丹波が、1万石の佐渡守に頭を下げることになるのだが……(佐渡守〔二〕)。