フラワーコミックススペシャル トーマの心臓 〈１〉

萩尾望都

小学館（2007/07発売）

• サイズ コミック判／ページ数 324p／高さ 21cm
• 商品コード 9784091311191
• NDC分類 726.1
• Cコード C9979

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[くたくた]

青く、透明で、伶俐で、傷ついていて、優しい。情感がオーバーフローして溺れそうな気分になった。ここから童話のようなファンタジーをそぎ落としていくと『残酷な神が支配する』に到達するのか。久しぶりの再読で、良い感じにストーリーを忘れていて、今更だが『訪問者』がこのオスカーと彼の父の話で、つながっているんだと初めて気付いた。それにしても中高生くらいの寄宿舎って本当に大変。学校が動物園にしか思えない身には、舎監のオスカーとユーリが神がかって見える。

2025/05/31

[アイアイ]

70年代ギムナジウム系作品。文庫版より迫力ある良いサイズ感。 あなたが好きだから死にました、という自殺文を送りつけられ罪悪感に苛む重たさ。 自殺した少年に瓜二つという理由で理不尽な目にあう転入生エーリク。 性別を超えた色っぽさ創美さがある少年たち(とくにオスカー)24時間美少年が生活してる城のような学校での閉ざされた生活。教師でも女性がでてこない。▽図書館

2016/02/25

[ぐうぐう]

「ぼくは　ほぼ半年の間ずっと考え続けていた　ぼくの生と死と　それから一人の友人について」。謎めいた手紙を残して死んだトーマをめぐるこの物語は、漫画が初めて内面描写を勝ち得た記念碑的作品といった、いわば漫画史としての側面からの評価だけでは伝えきれない凄みがある。もちろん、萩尾望都の繊細にして大胆な、文学と映画の手法を取り入れた画期的な表現は絶賛されるべきものだが。（つづく）

2009/08/18

[珂音]

初めて読んだ時はキリスト教も神も何も知らない子供だったのでユーリやトーマの心情がまったく理解できず、その部分は置いといて、絵の綺麗さに魅せられて読んでいたが、当時よりはかの宗教に関して知るようになった今読み返すと理解できる部分も多くなってる事に気が付いた。所詮仏教徒の私には理解したような気がする程度ではあるんだが。

2010/04/27

[ねこ太]

文庫持ってるのに買いなおし、高校生以来読む。再読すると最初に読んだ衝撃とは別の感動発見がある。「残酷な神が支配する」との関係について考察するとなおおもしろい。

2010/10/29