出版社内容情報
谷口 ジロー[タニグチ ジロー]
著・文・その他
原田 宗典[ハラダ ムネノリ]
原著
内容説明
病院で目醒めた久保田和弘の意識が交通事故の相手、小野寺卓也の身体に入り込んでしまった!?愛する家族の想いがふたりに奇蹟を呼ぶ。
著者等紹介
谷口ジロー[タニグチジロー]
1947‐2017。鳥取出身。1970年代より青年コミック誌を中心に活動。『犬を飼う』で小学館漫画賞審査委員特別賞、関川夏央との共作『「坊っちゃん」の時代』で日本漫画家協会賞優秀賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞等を受賞。1990年代半ばに『歩くひと』がフランスで紹介され、以後『遙かな町へ』、『神々の山嶺』(原作:夢枕獏)はじめ多くの作品がヨーロッパ、アジア、アメリカで高く評価される
原田宗典[ハラダムネノリ]
小説家。1959(昭和34)年、東京都生まれ。1984年『おまえと暮らせない』で第8回すばる文学賞佳作を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
38
バイクの疾走感と映画を見ているような情景が楽しめる三編です。長編も素敵でしたが、短編の「ママ、ドントクライ」は素晴らしかった。なんというか、少年が一瞬で大人になる、その瞬間を切り取ってくれている感じ…。自分は女子だし実子も娘だからこういう感覚ってフィクションか他人の体験からしか学べないんだけれど、今まで読んだ母息子の話の中でも一番心に残る短編になりました。次席は義母の話かなあ。2023/06/27
ぐうぐう
22
『谷口ジローコレクション』で再読する『晴れゆく空』。人格が入れ替わる設定は漫画に限らず、小説や映画にも多く見受けられるが、『晴れゆく空』では一人の身体に二人の意識が宿る。他者が自分の半生を眺めることで、自身を見つめ直すことが可能となるのだ。二人の意識による対話は、客観的にはひとりごとのような風景に見えてしまい、地味で単調な印象を与えてしまいがちだが、谷口ジローは主人公のモトクロス好きの設定を活用し、場面を大いに躍動させる。バイク繋がりで本書には、原田宗典原作の短編も収録されている。(つづく)2022/10/02
くさてる
15
原作原田宗典の三篇が収録。長編の「晴れゆく空」は読後感が良いよくできたお話だったけれど、短篇の「ママ、ドントクライ」の人生の一瞬を切り取ったような作品のほうがより心に残った。そして「エンジェル・エンジン」のダークな世界。それぞれの世界観に合った描線と構成で原作を漫画に昇華する谷口ジローの力量が感じられる一冊でした。2023/05/14
剛腕伝説
7
原田マハの兄・原田宗典原作、谷口ジロー作画。 【ママ・ドント・クライ】で少し泣かされた。【晴れゆく空】いっぱい泣かされた。【エンジェル・エンジン】は素敵なハードボイルドだった。 【晴れゆく空】は【ゴースト・ニューヨークの幻】の完全パクリのような内容。若かりし頃、ゴースト・・でいっぱい泣かされたが、やはり同じような場面で泣かされた。死んだ人間が愛する人に、思いを告げようとする場面、そしてそれを理解してもらう、お馴染みのこの場面には弱い。 ママ・・は昨年逝った母を思い出して泣いた。母さん、ごめんね。2023/12/18
KDS
6
谷口ジローコレクションの新刊。このシリーズは上製本で値段も高い為、未読作品が刊行されたら買うつもりでいて、購入するのは「青の戦士」に続いて二冊目。実際は既刊の「神々の山嶺」や「孤独のグルメ」などもまだ読んでいないのだが、それらもいずれは…と思っているところ。本作「晴れゆく空」は2004年に週刊ヤングジャンプに連載されていたもののようだが、単行本を見かけたことはなく存在すら知らなかった作品。交通事故で死んだ男の魂が、事故を起こした相手の青年の身体に乗り移るという少し奇妙でハートフルな物語。読後感の良い一冊。2022/10/08