出版社内容情報
麻布競馬場[アザブケイバジョウ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yasunon
232
相性:★★★☆☆ 抜粋:P.14 偉そうな人にも必ずその人だけの地獄の苦しみがあります。だからこそ強がっているのです。 所感:140文字毎に区切られている文章が新鮮。30歳になり、ふと自分の人生を振り返って、何者にもなれていない(と思いこんでいる)と嘆く登場人物たち。その暮らしは、誰かが諦めたり、叶わなかったりしたステータスなのに。勝手に誰かと比べて、勝手に傷ついて、勝手に妬んで。他人を見上げて卑屈になっても、見下して優越感に浸っても、その先には幸せはないと気付かせてくれる物語。しらんけど。2022/09/22
R
125
嫌な気持ちになる話ばっかりで気が滅入ってしまった。東京に住んでる人は、大なり小なりこんなことに血道をあげて、人生を費やしているのかと思うと、田舎暮らしに憧れるのも解るとか思ってしまった。実際は狭い範囲内なんだろうけども、マウントをとることでしか維持できない世界や生き方があって、そこに囚われた人たちの阿鼻叫喚が読めるようだった。当てつけのように朝井リョウの名前が出てきてて、その差は、まさにこの読み応え、読み味そのものなんだろうなと思うほど、救われないでいる人が見えるようで嫌だった。2023/04/24
やっさん
112
★★☆ どの作品も劣等感や手詰まり感がにじみ出てて、読んでるうちにネガティブになる。東京に住むとこんなに人と比べ、こんなに背伸びして生きることになるの?・・・部屋から東京タワーなんて一生見えなくていいや。2023/05/10
ゼロ
110
東京で生きる早慶出身の30歳若者のリアルを描く20の短編集。20の短編集は、それほどバラエティ溢れるものにはなっておらず、同じテーマをずっと語っている印象はありました。共通して、学歴コンプレックス(東大ではなく、早慶)であり、人を見下す(地方より東京が優れている)性格であり、無能である登場人物が出てきます。読んでいて気持ち良いものではなく、港区女子のような思考を持っている。なんか勉強はできるけど、人間関係や趣味がなく、虚構に生きている。元々Twitterやnoteに投稿していたらしく、今時のお話でした。2023/10/30
道楽モン
80
『令和元年の人生ゲーム』が良かったのでデビュー作も読んでみた。Twitter(当時)から生まれたこの短編集には、見事に現在社会のダメっぷりが詰め込まれている。経済的な見返りや承認欲求に溢れた者のオンパレードでキーワードはタワマン、慶應義塾、就活、SNS、上京者、30歳、麻布といったところ。挙げてくだけで悲哀が漂う。コンプレックスやルサンチマンは、経済格差や勝ち負け至上主義の洗脳の結果だ。30歳を堺として、現実に抗うのか諦めるのかというギリギリの崖っぷちで踏みとどまる若者たち。作中人物の生きる社会が主人公。2024/08/30
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