虚ろな革命家たち―連合赤軍森恒夫の足跡をたどって

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虚ろな革命家たち―連合赤軍森恒夫の足跡をたどって

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  • サイズ 46判/ページ数 267p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087817294
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

第20回開高健ノンフィクション賞、史上最年少受賞!

「脱」というより、「没」政治化(a-political)が極限まで進んでしまった現代日本の若者にとって何を意味するのか。この困難な問題に「平成」生まれの三〇歳になったばかりのフリーランスライターが挑戦している点で出色である。――姜尚中(東京大学名誉教授)

この作品の良さは、読む者に答えを示したことではなく、さらなる問いを投げかけたことだろう。――田中優子(法政大学名誉教授)

すべてを政治化することの危険性、不安と恐怖から湧き上がる防衛意識など、現代においても重要な問題を提示しているのだ。――藤沢 周(芥川賞作家)

時代の「感触」は、このようにして人から人へと受け継がれていくのだろうか。ノンフィクションによる「経験の伝承」という視点からも素晴らしい作品と言えよう。――茂木健一郎(脳科学者)

今年三〇歳になる筆者が同世代の若者に対して、なぜ政治的なイシューを共有できないのかと向ける切実な問いかけだ。――森 達也(映画監督・作家)

(開高健ノンフィクション賞選評より・五十音順)


<連合赤軍事件とは。今、若者の目線で見つめ直す。>

大学院で学生運動について研究していた著者は、ある手紙に出合う。父から子への想いが綴られたその手紙は、12人の同志を殺害した連合赤軍リーダー森恒夫によるものだった。残酷な事件を起こした犯人像と、手紙から受ける印象が結びつかない筆者は、森恒夫の足跡(そくせき)を追い……。
なぜ28歳の青年・森恒夫は日本に革命を起こそうとしたのか、なぜ同志を殺害したのか、そしてなぜ自ら命を絶ったのか……。
その答えを求め、森の高校時代の同級生、北朝鮮に渡った大学時代の後輩、「総括」を生き延びた連合赤軍の元メンバー、よど号ハイジャック事件実行犯の一人・若林盛亮らと対話する。

――誰だって、「彼」に成りうるのかもしれない。
開高健ノンフィクション賞を史上最年少で受賞した若き著者が、事件を追いながら、いつの世もつきまとう「政治と暴力」を解決するヒントを探る。

【著者プロフィール】
佐賀 旭(さが・あさひ)
1992年静岡県静岡市生まれ。明治大学情報コミュニケーション学部卒業後、早稲田大学大学院政治学研究科政治学専攻ジャーナリズムコース修了。日刊現代入社後、ニュース編集部で事件や政治分野を担当する。2019年退社。以降『週刊現代』『週刊朝日』を中心に、記者として活動している。

内容説明

第20回開高健ノンフィクション賞史上最年少受賞!誰だって、「彼」に成りうるのかもしれない。28歳の青年は、なぜ革命を志し、なぜ同志を殺し、そしてなぜ自ら命を絶ったのか。山岳ベース事件とあさま山荘事件から50年。連合赤軍リーダー森恒夫の足跡を辿る。

目次

第1章 差別
第2章 剣道
第3章 対話
第4章 山岳
第5章 組織
第6章 総括
第7章 救済
第8章 暴力

著者等紹介

佐賀旭[サガアサヒ]
1992年静岡県静岡市生まれ。浜松市で育つ。明治大学情報コミュニケーション学部卒業後、早稲田大学大学院政治学研究科政治学専攻ジャーナリズムコース修了。日刊現代入社後、ニュース編集部で事件や政治分野を担当する。2019年退社。以降『週刊現代』『週刊朝日』を中心に、記者として活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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パトラッシュ

119
「革命」を血まみれで腐臭漂う言葉にした連合赤軍事件は、あの空気を経験した者には知りたくもない狂気と悪夢の塊だった。裁判前に自殺した指導者の森恒夫は半ば忘れられていたが、当時の森と同年代の若者が事件を再検証する姿は戦争を知らない世代が戦争を学んでいるようだ。半世紀前の森を知る元同級生らの話から見えてくるのは、純粋に理想を追求するあまり過激化し、上部が逮捕されリーダーに祭り上げられた果てに暴走した現代の若者と同じく弱気で真面目な青年でしかない。山上徹也は暴力でしか体制は変えられないと思い詰めた森の子供なのか。2022/12/27

trazom

108
30歳の若い著者が「若者たちはなぜ社会運動に身を投じたのか」という問題意識から、連合赤軍の森恒夫氏の足跡を辿る。12人の同志を「総括」した凄惨な事件の背景に、永田洋子氏の人格的欠陥や森氏の器量不足という人間的要素と、赤軍派と革命左派との間の組織力学があるとする分析に目新しさはない。全編を通して、著者の考察と取材者としての姿勢に、違和感と不快感を覚えるというのが正直な感想。「現代の若者がなぜ未来に希望を持てないのか、その理由が分かった」として示される結論も、浅慮で妥当性に乏しい。これでは森氏は浮かばれない。2023/01/09

ナミのママ

64
映像を観た記憶はあるがそれすら過去に思える「あさま山荘」「よど号」事件、当時の事は全く知らない。その事件から50年。当時の犯人達と同世代の若い作者、本作はその視点で追っている。しかし取り上げられた森恒夫は1973年に自殺、森を知る関係者も高齢化して記憶も薄れ、新しい事実はない。なぜ革命に走り、仲間を殺害し、自殺したのかについても今まで多くの人が推測している。本作の主人公は森恒夫なのか、現代に生きる同世代の作者なのか?私の浅い読み方では意図する意味を読み取れなかった。【第20回開高健ノンフィクション賞受賞】2022/12/14

ぐうぐう

46
ノンフィクションとしては、柔な印象を受ける。とはいえ、そのことには大きな意味がある。連合赤軍事件には、メンバーの手記をはじめとする多くの資料が存在する。ただ、読めば読むほど痛感させられるのは、森恒夫の不在だ。連赤のリーダーの一人であり、総括を主導し十二人の同志殺害に関わった森は、公判前に拘置所で自死した。事件の核にいながら当事者が不在であるがため、本来であれば森を中心に据えた書籍があってもいいはずなのに、そのような書籍はほとんど見当たらず、ゆえに森に対してはステレオタイプな論考が目立つ。(つづく)2023/07/31

遊々亭おさる

24
責任感は強いが内気でリーダーには向かない少年だった森恒夫は後に連合赤軍の指導者的立場になり、やがて12人もの同志を犠牲にした集団リンチ殺人事件を起こし自らも死を選んだ。彼と彼らが手段として選んだ暴力によって革命は忌むべき禍々しい絶対悪となった。理想を掲げた闘争の果ての惨劇は何故起こったのか…。条件さえ整えば誰がリーダーであっても似たような結末を迎えたのかも知れない。その意味では、本書の帯の言葉はある種の警鐘になろうか。私怨の果てに暴走した山上容疑者だがある種の支持を得ている。彼はパンドラの箱を開けたのか。2023/01/07

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