だから、居場所が欲しかった。―バンコク、コールセンターで働く日本人

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だから、居場所が欲しかった。―バンコク、コールセンターで働く日本人

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  • サイズ B6判/ページ数 283p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087816334
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

「お電話ありがとうございます。○○社の△△です。ご注文ですか?」

陽光溢れる、東南アジアのタイ、バンコク。高層ビルの一角にあるコールセンターでひたすら電話を受ける日本人がいる。非正規労働者、借金苦から夜逃げした者、風俗にハマって妊娠した女、LGBTの男女……。息苦しい日本を離れて、彼らが求めたのは自分の「居場所」。フィリピン在住の開高賞作家が日本の現実をあぶりだす問題作。



第1章 「非正規」の居場所

学校時代、いじめに悩み、卒業後に非正規労働を繰り返した吉川は、バンコクでDJの道を目指すが……。

第2章 一家夜逃げ

10歳上のタイ人の妻を持つ世渡り下手な本田は仕事に追い詰められ、借金を残したまま一家でタイに渡る。

第3章 明暗

コールセンターを踏み台にステップアップした丸山。困窮邦人へと転落する関根。明暗を分けるものとは。

第4章 男にハマる女たち

バンコクのゴーゴーボーイ(ブリーフ姿の若いタイ人男性らがステージで踊る連れ出しバー)にハマってしまう女たちがいる。シングルマザーとなった青山、藤原姉妹はそれぞれゴーゴーボーイと結婚して海外移住する。

第5章 日陰の存在

日本ではまだまだ許容されているとは言えないLGBTの人々。一見許容度の高いタイのでコールセンターで働きつつ、居場所を模索する。家族との軋轢で悩む高木。風俗嬢の仕事まで経験したレスビアンの堀田。性転換を果たした水野。果たして彼らに居場所はあるのか。


内容説明

「お電話ありがとうございます。○○社の△△です。ご注文ですか?」遠く離れたバンコクの高層ビルで、一斉に電話を受ける日本人がいる。非正規労働者、借金苦、風俗にハマる女、LGBTの男女。生きづらい日本を離れ、行き着いた先は…。フィリピン在住の開高賞作家が描く成長を止めた日本のもう一つの現実!

目次

第1章 非正規の「居場所」
第2章 一家夜逃げ
第3章 明暗
第4章 男にハマる女たち
第5章 日陰の存在

著者等紹介

水谷竹秀[ミズタニタケヒデ]
ノンフィクションライター、1975年三重県桑名市生まれ。上智大学外国語学部卒。新聞記者、カメラマンを経てフリーに。現在フィリピンを拠点に活動し、月刊誌や週刊誌などに寄稿。2011年『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』(集英社)で第九回開高健ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

雪風のねこ@(=´ω`=)

138
居場所とは自他の愛情のバランスが取れている場所なんだと思う。もっとも愛情の形は人それぞれである。その形成には親の因るものであり、マクロの視点から言えば国の地勢、気候、風習、習慣、道徳観、そしてまたそれらを古くから受け継いできた知恵、教えとしての宗教観である。著書に登場する人物は(先天的な性癖もあろうが)幼少時にその愛情が歪であった事に起因している。社会を形成するには秩序と理性が必要だが、それに関係なく人は心で、感情で行動するものである。国の違いに関係ない点が印象的だ。(続く)2017/12/16

えちぜんや よーた

119
国内にいても息苦しいことは重々分かっていることだけど、海外から見たらさらに日本の社会は息苦しい社会であることががよくわかる。何のスキルもなくバンコクで働くことはいかにも「都落ち」しているように見える。だが問題なのは「都落ち」している人ではなく、「都落ち」させている不寛容な社会の方だろう。本書を読んでいるといたることろに、「正社員」・「非正規」・「派遣」などというレッテル貼りのような単語が散見される。身分差別が当たり前の江戸時代じゃあるまいし、「そりゃタイの方が生きやすさを感じるよな」と思った。2017/11/27

sayan

74
ある書籍に登場する「非場」。自身の立場や生き方、意見を表明する「基盤」となる場所が「ない」という意味の造語だ。本書タイトルの「居場所」は物理的・心理的な拠り所という意味合いかな。非場の対義語に近い単語かなと思う。群像小説さながらの多様な生き方と各人の想いが生々しく1ページ1ページに映し出され、読者に飛び込んでくる。読後感はあまり良いものではない。居場所は、ここかあそこか、と二者択一も非現実的な気がする。自分の様々な生き方にあった部分的な居場所が「あちら・こちら」にある、というのが個人的な理想だ。2019/05/02

どんぐり

72
『日本を捨てた男たち:フィリピンに生きる』に次いで、2冊目の水谷本。今度は、タイに行き着いた日本人のルポ。日本でできることがなかった人がタイへ渡り、タイでできる仕事がないから日本人相手のコールセンターで働いているという人たちだ。なんということはない、非正規が場所を変えただけのこと。タイにいても自分の売りになるものがない若者、日本に居づらくなって夜逃げした一家、ゴーゴーボーイにハマる女性やLTBGの人たち、とさまざまな人たちが登場するけれど、ネガティブな人生に彩られていてなんら共感するものがない。2018/08/26

こばまり

57
飛び出してみたとて閉塞感が解消されるとは限らない。理由は即ちタイトルに帰結すると筆者。同情一辺倒のスタンスではないとしながらも、国内で困窮すると社会の責任が問われ海外だと自己責任とされる傾向があるとの指摘は言い得て妙。2021/02/10

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