出版社内容情報
佐世保の小学校で小6女児が仲の良い同級生に殺害された痛ましい事件から10年。被害者家族は、どう精神のバランスをとり生きてきたのか。子どもの心がわからない全ての人に贈る渾身のノンフィクション。
内容説明
友だちを殺めたのは、11歳の少女。被害者の父親は、新聞社の支局長。僕は、駆け出し記者だった―。世間を震撼させた「佐世保小6同級生殺害事件」から10年。―新聞には書けなかった実話。第十一回開高健ノンフィクション賞最終候補作を大幅に加筆修正。
目次
第1部(1本の電話;僕は新聞記者;昼日中の教室で;抱き上げてやれなかった;加害少女は ほか)
第2部(御手洗さん/被害者の父として;加害者の父として;被害者の兄として)
著者等紹介
川名壮志[カワナソウジ]
1975年長野県生まれ。新聞記者。2001年、早稲田大学卒業後、毎日新聞社入社。初任地の長崎県佐世保支局で「佐世保小6同級生殺害事件」に遭遇する。被害少女の父は支局の直属の上司、毎日新聞佐世保支局長だった。事件から約10年にわたり取材を続け、佐世保支局を離れた後も、少年事件や犯罪被害者の取材にかかわる。警察回りや証券取引等監視委員会なども担当し、現在は東京地方裁判所・東京高等裁判所を足場とした司法取材に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
376
なぜ? このタイトルにたどり着いたのか…。その答えを知りたくて、むさぼり読んだ。2004年に起きた「佐世保小6同級生 殺害事件」。学校内で女の子が、同級生の女の子の首をカッターナイフで切った、ショッキングな事件は今も記憶に残っている。被害者の父は、毎日新聞佐世保支局長で著者はその部下だった。取材者でありながら、被害者の身近にいた人間だから書けた、或いは身近ゆえの苦悶が感じられる力作だった。中でも、加害者の父や被害者の兄に、時間をかけ気持ちの変化にじっと寄り添った文章に心を激しく動かされた。2020/02/12
有
124
佐世保小6同級生殺害事件。その冷たい響きに、関わる人々の息づかいが聞こえてきた。記者の川名さんは、御手洗さん家族と一緒に食事をする仲であったという。あれから10年。わかるはずもない「なぜ」をまだ、考え続けてしまう人たちがいる。被害者でも加害者でもない、記者である自分が、悲しんだり傷付いたりするのは違うのではないか。お父さんの手記。加害少女への複雑な思い。葛藤。答えが出ない闇の中で、想像しては暗く、悲しい気持ちになるけれど。大切な人の話を聞くこと。それが私に今できることなんだと、お兄ちゃんの話で気が付いた。2015/02/19
モルク
110
2004年の佐世保小6同級生殺人事件のルポ。著者は当時毎日新聞佐世保支局の記者であり、上司の局長御手洗氏が被害者怜美さんの父である。首をナイフで切りつけ死ぬ様子を見届け動かないことを足で蹴って確認するというショッキングな事件。1章は事件中心にそして2章は父親、兄、加害者の父が語られる。兄が語る友人であった女の子同士の心の綻び、それを知っていながらどうすることもできなかった兄の葛藤。身近にいた筆者ならではの細やかな心遣いを感じる。加害少女は怜美さんに対して今では贖罪の気持ちは生まれたのか、知りたい。2020/12/04
chiru
93
佐世保小6同級生殺人事件のノンフィクション。 ニュースでは知らされない事件の舞台裏が詳しく、被害者家族の痛みや動揺が迫ってくるようでした。 タイトルの言葉は父親ではなく、被害者の2歳上の兄の言葉。 社会復帰を果たしてるはずの加害者は、この本を読んだかな。『彼女を憎いとは一度も思わなかった、怒りをぶつけるべき相手が違う気がした』という兄の言葉は、彼女の心に届いたかな。 いつか、何年先でもいいから被害者家族に謝れたら、彼女の人生はそこから始まるんじゃないかと思いました。★5 2018/08/19
ゆみきーにゃ
83
《図書館》すごく考えさせられる一冊でした。被害者家族のリアルな気持ち、加害者家族の気持ちを読みながら色々なことを考えさせられました。すごく良かったです。2015/02/05