出版社内容情報
最期のとき、あなたは何を着たいですか?
充実した人生の最期を迎えるための準備=『終活』をキーワードに、他人と関わり合いながら生きる人間の「絆」を描いた、人情系エンタテインメント。小説すばる新人賞作家による渾身の一作!
内容説明
司法書士の市絵は、老人たちの遺言相談にのるうちに、死ぬときに着たい服を発表する「終活ファッションショー」の企画を思いつく。参加者を募ると、年齢も趣味もばらばらなメンバーが集まった。義母の葬儀の希望を叶えられなかったことを悔やむ嫁、バブリーなセレブ夫人、熟年離婚寸前のエリート夫婦、元警察官のオカマバーのママ…。十人十色の死装束から、それぞれの人生が見える―。人情系エンタテインメント長編。
著者等紹介
安田依央[ヤスダイオ]
1966年、大阪府生まれ。関西大学法学部政治学科卒。「百狐狸斉放」で第二十三回小説すばる新人賞を受賞(のちに『たぶらかし』に改題、集英社より刊行)。作家であると同時に現役の司法書士でもあり、NPO活動や講演を通じて「終活」の普及に務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
59
司法書士の市絵はひょんなことから独立開業しました。親しくなった近所の老人たちの話を聞く日々が続いていましたが、ある日お姑さんの葬儀のことで後悔している女性と出会い・・。自分が死んだ時の事を考える上でも“終活”というテーマは非常に興味深いものがありました。それだけに期待していたのですが、どうやら期待しすぎていたらしく物足りなさを感じました。テーマは非常に良かっただけにその中核となる物語の部分に厚みを感じられなかったのが残念でした。次回作に期待したいですね。★★★2012/08/27
ゆみねこ
49
父を見送った直後にたまたま手にした1冊、実にタイムリーな本だった。葬式は誰のために行うか、終わりというものはいつの日か確実に訪れるものだから、自分の生き方をしっかりと確立し、悔いのない人生を送らなければと思った。父の旅立ちの衣装はスーツにネクタイ。心臓を病んでいたため、最後の数カ月は歩くことも制限されていたけれど、お気に入りのウォーキングシューズと可愛い5人の孫たちからのメッセージの寄せ書きを納めて。2013/12/13
もぺっと
30
貧乏司法書士の市絵は家の前でよろず相談所を始める。何人かと関わるうちに、終活について考えるようになる。そして死ぬ時着たい服をテーマとした、ファッションショーを開くことを計画する。登場する人たちは、自分の大切な写真を公開しながら、その時への思いを語っていく。この本、自分ならどんな終わり方をしたいか考えるきっかけになるし、考えなければいけないと感じる。それは、どんな生き方をしたいかということにもなる。家族でなくても人と人とのつながりの大切さも伝わってくる。市絵と血のつながらない弟、基大との関係もなんだかいい。2017/02/22
だんたろう
29
言葉だけをとれば、終活には違和感がある。準備することや心づもりは必要だけど、活動する必要があるのか。仕舞い方にはいろいろあって、人それぞれだと思うのに、枠にはめようとする活動には疑問を感じる。迷惑をかけることが全て悪いことではない。相手がどう思うかが大事なのに、自分の気持ちを大事にしすぎているように感じた。終活によって手続きは確かに楽になるが、揉め事によって得られることもある。故人や親戚を深く知る機会になることは間違いないのに。2014/02/12
カナティ
29
【図書館】司法書士の市絵が遺言相談にのるうちに死ぬ時に着たい服を発表する「終活ファッションショー」の企画を思いついて・・・という話。集まった参加者もセレブ夫人、離婚寸前の夫婦、元警察官のオカマバーのママなど様々。中でも元警察官のオカマバーの静ママの家族へのメッセージにホロリとさせられた。ファションショーが始まってからはページをめくる手が止まらなく、涙しながら一気読みでした。なかなか面白く、とても考えさせられました。前作の『たぶらかし』も機会があれば読んでみたいです。2012/09/28
-
- 和書
- 至高のコーヒーの淹れ方