内容説明
2004年7月26日、中島らも氏が52歳の若さで急逝してから2年。その衝撃の死を悼む声は未だやまず、小説、アンソロジー、CD、DVD…死後も数多くの作品が出され、原作映画も、大ヒットした「お父さんのバックドロップ」に続いて、06年4月「寝ずの番」が公開され、好評を博している。没してなお、その存在感が増しているらも氏。本書は、遺作「酒気帯び車椅子」、絶筆「ロカ」と共に生前最後に手がけていた小説集である。幻想、不条理、愛、笑い、恐怖…。破天荒な想像力と感性、強烈な毒とユーモア。若き作家時代、ロックに熱中した青春時代を背景に描かれた自伝的作品、未発表作2編も含め、本書には作家中島らもの多面的な作風と魅力の全てが込められている。
著者等紹介
中島らも[ナカジマラモ]
1952年、兵庫県尼崎市生まれ。大阪芸術大学放送学科卒。1992年「今夜、すべてのバーで」で吉川英治文学新人賞、1994年「ガダラの豚」で日本推理作家協会賞(長編部門)受賞。2004年7月26日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
79
10の短編。らも氏の小説では「今夜すべてのバーで」のような長編も面白いがこの本のような短編もなかなか。エッセイを読んでいると気がつくように氏の体験もかなり反映されている内容も多いと思う。タイトルの「君はフィクション」「山紫館の怪」の落ち、B級ホラー風の「コルトナの亡霊」、クスリの影響がおおきいような「DECO-CHIN」そして伝説のロックバンド「村八分」山口冨士夫へ捧げた「ねたのよい」など。はじめて中島らもに足を突っ込んだらなかなか抜けない粘っこくて濃い話ばかりだ。好き嫌いがはっきりする作家だと思う。2018/04/03
caramel
32
らもさん2冊目。こちらもどれも個性的なお話ばかりで濃かったです。いまいちハマりきれないものや、かなりぶっ飛んでいるものもあるけどどれも結構面白かったりするので好きです。中島さなえさんのあとがきもさすがの文章力を感じました。2021/05/31
あつひめ
26
中島らもさん初読み。独特の語り口というかテンポですね。躁鬱凸凹しているような。表紙もその雰囲気を表現しているのでしょうか。きっとらもさんを崇拝しているファンの方にはもっと強烈なメッセージが届いているのでしょうね。まだまだ中島らも作品に乗り慣れない私には表面的なことしかわからない。ただ、言えるのはいろんなアンテナをボンボン立ててそこに引っかかってきたものを逃さず自分のものにしているような雰囲気かな。もう少し中島らも作品を読んでみたいです。狂言「地籍神」がお気に入り。2011/08/15
黒猫
22
中島らもさん没後に出版された短編集。著者の体験がところどころに反映された作品です。「東住吉のぶっこわし屋」がお気に入り。鼻歌まじりに上司のワーゲンをぶっこわしていくおっちゃんは想像するに怖いものがある。「結婚しようよ」はまさに吉田拓郎さんの歌をヒントに作り上げた1970年代の匂いがでています。「バッドチューニング」も初読。完璧さを求める調律師だが、これもらもさんの家族体験が元になっているのかな?サクサク読めます。2018/04/14
ぜんこう
19
既読の話も多かったけど、何回読んでも楽しめる。 らもさん最高! でも、この世では新しい話は作ってくれへんから淋しい。2016/12/05