内容説明
純愛、不倫愛、同性愛、幻想との愛、幽鬼との愛など、古典から現代まで、さまざまな「愛のかたち」を紡いだ伝奇ロマン群。喜劇、悲劇の大博覧会。
著者等紹介
小林恭二[コバヤシキョウジ]
1957年11月9日兵庫県西宮市に生まれる。早くから小説家を志し東京大学文学部に入学。日本語修行のため東大学生俳句会に入会。1984年『電話男』で第三回海燕新人文学賞受賞。1998年『カブキの日』で第一一回三島由紀夫賞受賞
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
48
蒲松齢の『聊斎志異』を日本版へ換骨奪胎。舞台は日本ですが、テイストは本家そのまま。時代は本家通りなのに可愛くも美麗なキャラに対し、ぶち込まれるギャグとシリアスの話がら生み出される高低差、ラップで国の枢要を謳う官吏などの濃ゆい脇役が印象的な張六郎さんの『千年狐』(原案:干宝『捜神記』)と真逆である。そして理不尽バッドエンドや狐の美女化け率は高め。しかし、命を取ろうとするものばかりではなく、来世まで待ち続けたり、愛した者の幸せの為なら他者との縁を繋ぐ情の篤い狐や徳が篤い閻魔大王が多く、ほっこりしてしまう。2024/09/12
デコボコ
4
聊斎志異の日本版。柴田天馬の訳文を踏襲した文体になっていて、それだけでも面白い。 「閻王」が一番好きです。2014/12/22
九鳥
4
図書館本。人間と狐と鬼(ゆうれい)の出てくる物語集。こういうの大好きだ!ちょっとした短編から1頁未満の掌編まで五十四話。「人妖」「閻王」「蛙神」あたりが好き。基本美男美女ばかりなのもいい。本家の「聊斎志異」も読みたい。2008/12/01
大福
3
「人妖」「閻王」「抜け馬」「迫力ある人物」のへんが好き。どうしよう、こういうの大好き!面白いです。美男美女率高いし。色んな妖しい話、不思議な話、善良な話やらが集められている。スイスイ読み進めていけるので、スタイルとしては百物語みたいな感じかしら。ハッピーエンドの中にさらっと、何の救いもない話が放り込まれているのもいいなぁ。2009/05/22
まる
2
清代の怪異小説集に倣ってまとめられた、日本を舞台とした様々な時代の怪異小説集。やはり異類婚姻譚は多く、特に異類の女が人間の男と恋におちるパターンが頻出。異類の男が人間の女にっていう話はなかった気がする。何故に情の篤い狐は女ばかりなんだろうか。個人的には「閻王」「清少納言」「喪服の女」「志乃」「酒友」「菊精」が面白かった。2010/02/26