内容説明
物事はすべてあるがままですでに凝縮されている。絶妙に溶け合う60の記憶とことば。
目次
緑いろの信号
輪ゴム
レモンしぼり器
煙草
小さな鞄
愛称
焼き鳥
メンソレータムとオロナイン
カクテルの名前
トライアングル〔ほか〕
著者等紹介
江国香織[エクニカオリ]
1964年東京生れ。目白学園短期大学国語国文科卒。アテネフランセを経て、米デラウェア大学に留学。’87年『草之丞の話』で毎日新聞社花いちもんめ小さな童話大賞、’89年『409ラドクリフ』でフェミナ賞、’91年『こうばしい日々』で産経児童出版文化賞、坪田譲治文学賞、’92年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、’98年『ぼくの小鳥ちゃん』で路傍の石文学賞、’02年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で第15回山本周五郎賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よこたん
44
“戸外で食べるお弁当に、固ゆで玉子を殻ごと持っていき、その場でむいて、いい空気のなかでぱくりと味わう、ということのできるひとに憧れる。” すこし懐かしい香り漂うエッセイ。ほんとに些細なこと、とるにたらないことをそっと掬い上げているような中に、きらきらした何かが見え隠れしているようで、不思議な心地よさに包まれる。ふわふわ頼りなげであるかと思うと、きっぱりとして譲らない面もある。時々どんくさげ(不器用)なところもいい。江國さんの、石けんとスポンジへのこだわり、消えゆくものに対する言葉に、ドキッとしてしまった。2016/12/07
あつひめ
35
小説と違って(と言ったら変な言い方だが)遊び心がいっぱいの1冊のように思う。目次のフォントや文章の文字の色とかね。エッセイは作者の個性も味わえるから面白い。さりげない日常を、しっかり観察しているような江國さんをたっぷり味わうことができる。繰り返し読んでも飽きないような気がする。とるにたらないもの=取り上げるだけの価値が無いもの・・・と言いつつ、書かれているどのものにも江國さんのこだわりがいっぱいな気がする。2011/07/14
野のこ
33
何気ないけどその魅力にはっと気づかせてくれて色づくエピソードばかりでした。また共感も多くてとても嬉しかったです。とくに「ピンクっ」はそうそう、不意打ちの興奮!「生活してればどうしたって傷つくものよ あなたも私も」は印象に残りました。お父さまの思い出にはしんみりと。。「食器棚の物語 私の架空の産物なのだ」に私もよく食器棚に顔を突っ込んで覗くのでそのまま空想の世界に迷いこみたくなりました。また「バスタブが私のベッド」と言って7時間も寝てるのにはびっくり!お母さまさぞかし心配されたでしょうに。。2017/09/07
さよちゃん
32
図書館本。 大好きな江國香織さんのエッセイ2作目。 お盆の年二回の恒例行事・『ヨメのお勤め』。お盆前からブルーな気持ちの私の心を癒してくれた有り難き一冊(笑)江國香織マジック(*^o^*)「食器用スボンジ」は、私もこのタイプのモノが好き…ってあるし、スポンジ見るのも好きだし、理想的なスポンジ見つけたら買っちゃう方かも知れない(^o^)2015/08/15
がいむ
23
原稿用紙で言えば2枚くらい?短~いエッセイです。とるにたらないものもの、たとえば輪ゴム、石けんなどのことを真剣に愛らしく書けるのは江國さんならでは。お父さんの思い出が出てくる「フレンチトースト」「書斎」が好きです。2013/06/16