内容説明
江戸時代後半。筑前の商家の内儀で高倉健氏のご先祖・小田宅子さんら4人は、5カ月、3200キロの旅へ。伊勢、江戸、日光、善光寺…。歌を詠みながら繰り広げる、溌刺として豊饒な五十路女の元気旅。
目次
足も軽かれ天気もよかれ
玉くしげ二見の浦波
後の世たのむ善光寺さん
二荒の早蕨
お江戸・治まる御代は水も濁らず
秋葉みち・知らぬ山路にゆきくれて
水無月の空
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
moon-shot
2
時は天保十二年(1841)。筑前の商家のお内儀さんが、五十三歳で思い立ってお伊勢詣りに旅立つのですが、そこから先が、善光寺、日光、江戸ととんでもない寄り道を重ねて五ヶ月間の大冒険旅行をやってのけた(実話)。その記録を読んだ田辺さんが、同時代の紀行文である清河八郎の「西遊草」や滝沢馬琴の「羇旅漫録」、更には「東海道中膝栗毛」まで駆使して当時の日本の旅を描ききったのが本作。江戸時代にここまで一般人が自由に移動できたのも驚きですが、峠路のつらさや関所越えの苦心も並大抵ではなくリアリティ溢れる内容に感動しました。2023/10/09