内容説明
合鍵をもつ鍵猫、約束の骨笛、同じ夢を共有する母と娘、Tシャツを着た幽霊…。幻想が紡ぎだす摩訶不思議な物語。夢と現の淡い世界を描く短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えも
16
これこそ皆川博子という幻想短編集。主人公は皆、死と隣り合っていて、あるいは自分が死んでいることを途中まで知らない幽霊だったりして、そんな淋しい幻想が続きます。そして読み進めるうちに、「泉」という少女と「マユ」という少女が何度も出てきて、彼女たちが主人公であることに気付くころには、皆川世界にどっぷりとはまってしまい、その甘美な少女独特の哀しみがリフレインする小説構造に捉えられてしまうのです…。 うーん、耽美だなあ。2015/12/01
あまりりす
16
ただの短編集だと思って手に取って、ぼんやりと読み進めていたので、連作短編集だと気付いた時の驚きと言ったらΣ(゚Д゚)電車の中で叫び声を上げるところでしたよ(_ _;)ええとですね、皆川作品の、特に幻想小説がお好きな方にはもう、超絶オススメでございます!とろりと自我がとろけていくような、不思議な感覚に包まれてください!虫がとても苦手なので、この装画で避けていたのですが(実は触るのも嫌だった(_ _;))本当に素晴らしい作品でした!2015/02/20
redbaron
15
この美しさ、安定した皆川節…変な言い方だけれど、そうなんだもん(^^; 何気なく読んでいるうちに連作だと気づき(遅っw)。いや~再読しなきゃ。この方の著作には毎度驚かされるし、まったく古くならない。あの世とこの世の境目は本当は曖昧なのね。生きていても死んじゃっている人多いし、死んでいても生き生きしている方もいるし。生死ってなんだろな。あたいの感想も安定したお子ちゃま感想www2016/04/20
藤月はな(灯れ松明の火)
15
過去と現在、言い換えるならば「死者」と「生者」がふとした瞬間に交わるのに対し、半身ともいえる「死者」との再会を欲しているであろう「生者」が「死者」と永遠に交わらなかったりする行きずりまたは、すれ違いの物語。死者と生者の狭間が茫洋として地繋がりなため、最初と最後が繋がる様にはぶわっとなりました。2012/08/15
花々
6
死んでしまった友人や家族、知り合いだった者たちが幽霊として舞い戻り、思い出を回想していくような物語だった。途中、退屈になってしまう所も。。。2014/02/24