ヒロシマを暴いた男―米国人ジャーナリスト、国家権力への挑戦

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ヒロシマを暴いた男―米国人ジャーナリスト、国家権力への挑戦

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  • サイズ 46判/ページ数 288p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784087735154
  • NDC分類 936
  • Cコード C0098

出版社内容情報

原爆の正体を世界中に知らせた、一人の記者がいた。

1946年8月、とある雑誌の特集記事にアメリカ中が騒然となった。第二次世界大戦でアメリカに勝利をもたらした広島と長崎の原子爆弾が、1年後も市民に後遺症と死の苦しみを与えていることを、人々は全く知らなかったのだ。
のちに世界的名著となったルポ『ヒロシマ』は、いかにしてアメリカ軍やGHQの隠蔽と検閲をすり抜け、世に知られるに至ったか。小説でピューリツァー賞を受賞しながらも才気ある記者として活躍したジャーナリスト、ジョン・ハーシーと雑誌『ニューヨーカー』の軌跡を辿る。

【著者略歴】
レスリー・M・M・ブルーム
Lesley M.M. Blume

ロサンジェルスを中心に活動しているジャーナリスト、ノンフィクション作家、小説家。『ヴァニティ・フェア』『ニューヨーク・タイムズ』『ウォール・ストリート・ジャーナル』『パリ・レヴュー』など各紙誌に寄稿している。アーネスト・ヘミングウェイについて執筆したノンフィクション『Everybody Behaves Badly』は、『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラーランキング入りを果たした。

【訳者略歴】
高山祥子
(たかやま・しょうこ)

1960年東京生まれ。成城大学文芸学部ヨーロッパ文化学科卒業。翻訳家。訳書にキース・ジェフリー『MI6秘録』上・下(筑摩書房)、ヒラリー・ロダム・クリントン『WHAT HAPPENED 何が起きたのか?』(光文社)、ジェームズ・バロン『世界一高価な切手の物語』、アリソン・マクラウド『すべての愛しい幽霊たち』、ケイト・ウィンクラー・ドーソン『アメリカのシャーロック・ホームズ』(以上東京創元社)など多数。

【英語版タイトル】
FALLOUT : The Hiroshima Cover-up and the Reporter Who Revealed It to the World

内容説明

終戦から一年、とある雑誌の特集記事『ヒロシマ』は世界を揺るがす大スクープとなった。記者ジョン・ハーシーは、いかにしてアメリカ軍による隠蔽とGHQの目をくぐり抜け、のちに名著となるこのルポを書き上げたのか。国家権力に挑んだ、そのジャーナリスト精神に迫る。

目次

イントロダクション
第1章 この写真はすべてを物語ってはいない
第2章 特ダネで世界を出し抜く
第3章 マッカーサーの閉鎖的な王国
第4章 六人の生存者
第5章 広島でのいくつかの出来事
第6章 爆発
第7章 余波
エピローグ

著者等紹介

ブルーム,レスリー・M.M.[ブルーム,レスリーM.M.] [Blume,Lesley M.M.]
ロサンジェルスを中心に活動しているジャーナリスト、ノンフィクション作家、小説家。アーネスト・ヘミングウェイについて執筆したノンフィクション『Everybody Behaves Badly』は、『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラーランキング入りを果たした

〓山祥子[タカヤマショウコ]
1960年東京生まれ。成城大学文芸学部ヨーロッパ文化学科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃちゃ

112
「一九四五年以来、世界を原子爆弾から安全に守ってきたのは広島で起きたことの記憶だった」 読了後、本の扉の言葉に涙が滲んだ。終戦からわずか1年後、その記憶を『ヒロシマ』と題した記事で世界に伝えた米国人ジャーナリストのハーシー。本書は出版に纏わる経緯を、膨大な資料と丁寧な取材、強い熱意で克明かつ詳細に追った渾身のノンフィクションだ。今年原爆の日を迎えた広島・長崎の平和宣言で、市長たちは核抑止依存からの脱却を訴えた。唯一の戦争被爆国に住む者として、その記憶を改めて心に刻み伝えていく必要性を感じる、78年目の夏。2023/08/14

trazom

111
ジョン・ハーシーの「ヒロシマ」は歴史的名著だ。アメリカ政府が広島の被害の深刻さや致命的な放射線の影響を徹底的に隠蔽する中、1946年「ニューヨーカー」に掲載された「ヒロシマ」の衝撃の大きさ。市井の六人を主人公にし、「人間的な観点から」描く3万語の記事を「いっぺんに全部掲載」したニューヨーカーの編集者の胆力に、ジャーナリズムの健全性を見る。ハーシーは「戦後、核兵器の使用から世界を守ったのは、恐怖心という抑止力ではなく記憶だった」と言う。人類にその記憶を植え付けてくれた「ヒロシマ」を巡るこの物語は、感動的だ。2021/10/08

ヘラジカ

67
どうしても全体主義国家であり敗戦国となった日本との対比で考えてしまうが、終戦直後にここまでジャーナリズムが機能していたことにまず驚いてしまう。このとき真実を明るみに出し”ヒロシマ”という人類が共有すべき記憶を残すため奔走した人々がいなければ、大袈裟ではなく、もしかしたら今の世界はなかったかもしれないのだ。一つの小さなメディアが、それまでのスタイルを曲げて、様々なリスクを負いながらも、かの重要な特集を完成させたことには感動すら覚えた。後塵を拝した主要メディア(特にNYT)の反応も、あるべき姿として実に潔い。2021/10/19

クリママ

51
原爆投下後の広島については書かれたものには多くの名著があり、ジョン・ハーシーの「ヒロシマ」の内容は想像のつくものだったが、本作は「ヒロシマ」の成り立ちについて詳しく解説されたノンフィクション。投下後1年を過ぎても米国上層部により厳しい報道規制が敷かれ、その惨状、放射能の影響が報じられることのなかった中、スクープを目指したとはいえ、取材方法、文章の書き方、発行形態など周到に考えられ、それがわが身にも起こり得ることとして、アメリカ市民の良心を呼び覚ますことに繋がった功績は絶大なことを知った有意義な読書だった。2023/11/16

たまきら

47
先にジョン・ハーシーの「ヒロシマ」を読むことができて良かったです。当時の原爆を正当化するような世論を一変させた記事…その記事がかなりイレギュラーな形で出版されるまでの経緯も、その後の関係者の逸話も興味深かったです。また、検閲とジャーナリズムの歴史ものとして読んでも素晴らしい。真のメディアについて一読者として真剣に考えているときに手に取れて、本当に良かった。ノーベル平和賞をジャーナリストがとった年に読むにふさわしいドキュメンタリーでした。秀逸。2021/12/26

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