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出版社内容情報
名作「アンダーグラウンド」などで数々の受賞歴を誇る映画監督が小説を初執筆!ユーゴスラヴィアを舞台にコミカルかつパワフルに描く、珠玉6編の短編集。
内容説明
はちゃめちゃな家族、理不尽な戦争。それでも人生捨てたもんじゃない。映画『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』など、愛と厳しさと生命力に満ちた独特の感性で世界中を巻き込んだクストリッツァ。天才映画監督による、連作短編4作、独立短編2作の魅惑の短編集。
著者等紹介
クストリッツァ,エミール[クストリッツァ,エミール] [Kusturica,Emir]
1954年生まれ、旧ユーゴスラヴィアのサラエヴォ(現在はボスニア・ヘルツェゴヴィナ)出身の映画監督。『Do You Remember Dolly Bell?』(1981)でヴェネチア国際映画祭新人監督賞を受賞したのち、『パパは、出張中!』(1985)『アンダーグラウンド』(1995)でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを2度受賞。ほか『ジプシーのとき』(1988)『アリゾナ・ドリーム』(1993)『黒猫・白猫』(1998)で国際映画祭で賞を獲得している
田中未来[タナカカナタ]
1983年兵庫県生まれ。翻訳者。東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻フランス語フランス文学専門分野、修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
163
作者はサラエボ出身。ユーゴスラビアの時代に生まれ、紛争も経験している。それが見え隠れするが、本題はそんなことではない。人生だ。争いがあろうが、恋人同士はキスをする。恋人との誓いも、年寄りのつぶやく教訓も、愛人を持つ父親も、家庭で寂しい想いをする子供も、やはり存在するように、笑いだって存在するのだ。その笑いの部分がどの短編にも小さな幸せのスパイスをもたらす。個人的には一話目が真実の愛の強さを見せてくれるようで1番好きだが、どの話もいい。何度も読み返したい作品。いい本に出会えたな。2017/08/06
藤月はな(灯れ松明の火)
57
アレクサ4部作は一少年が家族としての自分と自己を両立させるていくまでをコミカルに描く。彼が大人になった理由が普遍的。後、家庭をぶち壊すのは簡単でも、平穏化させるのは難しいし、本当に疲れるからアレクサの判断は妥当だと思う。映画『オン・ザ・ミルキーロード』の原案も収録。この「蛇に抱かれて」は戦時下での恋を描く。しかし、その結末は哀しくも力強いものだった。ただ、映画でもその前の場面はショッキング過ぎたのです・・・。だからこそ、命(〇が象徴?)を愛の犠牲とした上でハッピーエンドになったら納得いかなかっただろう。 2024/07/17
ちょき
49
ボスニア・ヘルツェゴビナ、サラエボあたりの最近まで戦争にさらされていた国で生まれた小説、ロシアの社会主義や冬の厳しさを感じる小説かと思えば、人間臭くてユーモアたっぷりの中編小説集だった。「蛇に抱かれて」は戦争の最中のファンタジー。夏目漱石の作品のような印象。「分かるだろ、実際! 」妻に収入を知られたくない父。息子のアレクサはその父の給与をまるまる盗まれてしまう。表題作の「夫婦の中のよそもの」は前者と連作。よそものは誰だろうかと想像してたら、予想と違う話に持っていかれ、それもまた楽しかった。(4/10修正)2018/04/08
Vakira
44
この本の作者、エミール・クストリッツァは映画「アンダーグラウンド」の監督。奇妙で壮大な人間ドラマが面白く描かれ、これ1本しか見ていませんが最近見て惚れてしまいました。その監督の最新作「オン・ザ・ミルキーロード」が9/15日から公開。んん?原作を書いている。この本の収録短編「蛇に抱かれて」がそうらしい。小説ではどうなの?お手並み拝見と行きましょう。6作の短編集。アレク少年の物語が4作。子供から大人へ。男なら誰でも通る少年~思春期時代。この時代の少年考えることはかなり変わっている。そういえば自分もだ。懐かしい2017/09/14
りつこ
40
タイトルはいかにも私が好きそうな感じがしたんだけど、文体が妙にハイテンションで馴染めなかった。ちょっと寓話的な雰囲気のある「すごくヤなこと」と映画の原案になったという「蛇に抱かれて」はよかった。ヘヴィな出来事をテンション高く寓話っぽく書くのがこの作者の持ち味なのかな。カレム少年を主人公にした連作には正直興味を抱けなかった。2017/07/13