永遠の子ども

永遠の子ども

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  • サイズ B6判/ページ数 383p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087734270
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

幼いわが子がガンを宣告されたら?そしてあらゆる手を尽くしても死なねばならなかったとしたら?新進気鋭の文芸評論家フォレストにこのうえない悲しみが降りかかった。最愛の娘ポーリーヌが小児ガンで亡くなったのだ。まだ4歳だというのに…。本書は娘の発病から死に至るまでを綴った父親の闘病の記録である。フェミナ処女作賞受賞。

目次

1 初雪
2 闇のなかの物語
3 時間の森で
4 庭
5 アナトールとレオポルディーヌ
6 MANGA
7 死者の受けるべきもの
8 ウェンディ
9 純白の散歩

著者等紹介

フォレスト,フィリップ[フォレスト,フィリップ][Forest,Philippe]
1962年パリ生まれ。イングランド、スコットランドの大学で教鞭をとり、現在ナント大学文学部教授。ソレルス、カミュ、象徴主義詩人、シュルレアリスム文学を研究し、ジョイスを論ずる新進気鋭の文学者。『永遠の子ども』(1997)はフォレスト自身の4歳の娘の死から生まれ、フェミナ処女作賞を受賞

堀内ゆかり[ホリウチユカリ]
1960年生まれ。フランス文学専攻。学習院大学助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

26
堀江敏幸の随筆から知った一冊。読んでいて、ここまで己の心理を明快/明晰に分析し語ることが出来るのかと唸らされる。悪く言えばそれだけ晦渋でハイソな作品であるとも思われる。もちろん私は肯定的に評価する。「癌で自分の娘を失う」という素材を、その心理における混乱と葛藤を克明に記述し、なおかつ何処か微笑ましい、不思議と読後感が悪くないものとして仕上げているように思うのだ。死を受け容れる……この難しい仕事を、しかし是枝裕和の映画のように、技巧の限りを尽くしてやってのけた。批評家ならではの力みが若干気になるのが難点か?2019/08/29

taku

17
娘を四才で失った著者の悲しみと痛みが綴られた小説。自分と家族のために書いた私的な本であり、少女と両親の闘病記録であり、通俗的な文化も交えながら文学的に語る構成は執拗なほどでまとまりに欠ける。でも、拒絶したい終わりが近づき、時間が止まってしまった我が子のことを整然と語れるものではないのだろう。少女は本の中で透き通るようにキラキラと輝いている。子供が日々成長していく。当たり前のように思っていることは、それが崩れてしまうまで、かけがえのないことだと気づかないものだ。2018/07/22

takao

4
ふむ2024/03/15

ころっぷ

0
悲しみのあまりに深く永遠に思えるほどの質量が、美しくも淡々とした文体の隅々にまで満ちている。非情で尊大な時間の押し流していく圧倒的な喪失の前に、ただただ記録と記憶を遺すという試みで何かへの抵抗を示した筆者の強さと眼差しが、胸を締め付ける。人間がいかに無力で、尚無限の想像力でいかなるものをも凌駕し得るのかをこの悲しい物語は突きつけてくる。この作品で描かれる生と死は、圧倒的な個の存在感を示している。儚い営みの全てが不可避の死と同等に美しい。2012/05/26

natsu

0
白は、死んだ子供を埋葬する色だ…――ポーリーヌが死に至るまでを描いた私小説。真っ白な雪景色を空に向かって歩いてゆく。そんな、初めの描写がいつまでも頭に残る。 機械だけがまだ、もう空っぽになった彼らの子どものからだを動かしている、計算された呼吸を管理している。それだけ。ご承知あれ。こうして人間は終わるのである。2011/10/22

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