出版社内容情報
幾何学的側面を強調した,解析力学あるいはハミルトン方程式の教科書.微分形式とは,様々な演算が座標変換で不変であるように工夫された概念である.これを縦横に使い,ハミルトン方程式の座標不変な性質を調べる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
14
外から見ていると何が違うのか分かりにくいと思うが、数学の人と物理の人の数式の計算に対する姿勢ってかなり別物で、「物理の人!その計算って正当化出来るの⁈どうやって⁈💦」「数学の人って何をそんなに警戒してるんだろう??だってこんな計算、直感的に当たり前じゃないの??」くらい食い違う。本書は、解析力学で展開される計算体系を微分形式の言葉で数学的な厳密性に耐え得る土俵に引き戻して論じたものなので、安心しながら解析力学の世界を散歩したい数学畑の人向けの本なんだと思う。誰得な本なのかと言われれば。2022/09/27
むらさき
6
微分形式だけの本を読んでも、いまいち腹落ちしていなかったが、本書を読んで、理解が進んだ。 結局道具でしかないから、この本で挙げられているような、対象があると結構わかった気になれる。 展望の章で三体問題が話題に出ていて面白そうだった。 同シリーズ常微分方程式やベクトル場も合わせて繰り返し読んでいきたい。2024/05/17
しお
2
物理では鮮やかなわりにややもすれば深遠かに思われる計算が見られる。早い話、ちょっと雑だ。問題は二重の意味での「引き戻し pull back」だ。あくまで職業上必要な手続きを経て物理を把握するに他ならないので、通約不可能性はさして重要ではない。とはいえ、一見すると妙に思えていた(ズルをしてる?かに思われる)計算をちゃんと幾何で確認するのは、おそらく些末にみえるところに要諦がある。軸性ベクトルや擬スカラーとて初等的にも作業できるが、ホッジ作用素を媒介とするとやはり見晴らしが良い。2024/12/05
2
式変形を丹念に追おうとするとかなりつらい気がする。雪江先生の本が神に思える。逆に多様体を一通り理解した上で読むと面白いんだろうか。解析力学と微分形式のつながりをインスタントに学習するのならよいのかもしれない。普通の教科書だとそこまで説明されないが、その先の世界を垣間見た気持ち2022/04/01
松元大地
1
微分形式の導入の動機がよくわかります。2021/08/10