内容説明
捕鯨船エセックス号は怒ったマッコウクジラに沈没させられた。―現実のエセックス号の悲劇は、この『白鯨』のクライマックスの後から始まる。捕鯨船から脱出したのは20人、そのうち、生き残ったのはわずかに8人だった―。本書は、事件からおよそ180年後、犠牲者と同じナンタケット島に住む歴史家が綿密な調査で明らかにし、全世界を震撼させた問題の書である。全米図書賞受賞作品。
目次
ナンタケット
転覆
はじめての獲物
燃えかす
攻撃
計画
大海原
激化
島
苦しい選択
くじ引き
ワシの影
帰郷
結末
著者等紹介
フィルブリック,ナサニエル[フィルブリック,ナサニエル][Philbrick,Nathaniel]
ナンタケット島の歴史について屈指の研究家。イーガン海事研究所所長、ナンタケット歴史協会の研究員。現在マサチューセッツ州ナンタケット島に住んでいる
相原真理子[アイハラマリコ]
東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒業
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
53
『白鯨』のもととなった捕鯨船エセックス号の悲劇を、生存者の手記をもとに詳細に描いたノンフィクション。不吉な彗星の出現、エセックス号の船員が起こした忌わしい事故。鯨による襲撃後の漂流で最悪な事態を引き起こすことになった理由も人的なミスによるものだったということを考えると、エセックス号の悲劇は神の怒りによって下された制裁のように思えてならない。生存者のその後についても、彼らの業が現れ、二人への神の意思が働いているように思えてならない。そこに、何ともいえない不安と恐ろしさを感じる。2016/01/26
taku
18
究極の危機は人に真価を問う。オレが問われる時がありませんように。本書の核は、捕鯨船の沈没により地獄を経験した船員の生還劇だが、最も評価するのは多様な視点で調査、報告をしていること。ナンタケット島の興隆と変遷、人々の生活、捕鯨産業の実情、当時の捕鯨船や船員の姿、捕鯨の目的と方法がわかる。飢餓、脱水状態が及ぼす人体への影響や他の難破事故例、生還者のその後にも触れていて、価値ある記録書になっている。映画「白鯨との闘い」はだいぶ記憶が薄れてしまったけど、ようやく原作を読めた。2019/02/03
april-cat
7
『船乗りサッカレーの怖い話』の中で、子どもたちの愛読書の1つがオウェン・チェイスが書いたエセックス号の話でした。オウェン・チェイスが書いたものは見つからなかったのですが、代わりに見つけたのがこれ。オウェンはエセックス号の乗組員だったこともわかりました。マッコウクジラに襲われて船を失い、仲間を食べながら3ヶ月にわたる漂流を生き延びた乗組員たちの話です。この本はセンセーショナルなトーンを押さえて、あくまでも客観的に事件を描き出していますが、マッコウクジラと出会ったあたりからの緊迫感はすごいです!オススメです!2012/07/12
Akxvigs
4
かなり面白かったです。マイナーな話のようですが漂流記としてはかなりスリリングです。ただカニバリズムも出てくるので苦手な人注意。古い話ですがノンフィクション仕立てでよく出来ています。2021/08/22
ゆう
4
以前からメルヴィルの小説を読んでいたため、映画の原作として気になって読んだ。こんな極限状態で、生き延びた人がいるのか…本当に恐ろしかった。映画ではどのようになっているか見てみたい。2016/01/22