内容説明
いつも薔薇になぞらえていた恋人ローズの死に大きな衝撃を受けた19世紀の万能の天才ジョン・ラスキンは、ヴェネツィアの魔力によって、精神的苦悩を癒されてゆく。ヴェネツィアでローズの化身と再会できたからだった…。水の都ヴェネツィアを背景に哀切に語られる、英国ヴィクトリア朝における最も名高い恋物語。
目次
1 失恋、恋の芽生え、再度の失恋
2 一八七六年、ヴェネツィア
3 カルパッチョのおとぎ話
4 クリスマスの物語
5 アックア・アルタ(高潮)
著者等紹介
ロヴリック,ミッシェル[ロヴリック,ミッシェル][Lovric,Michelle]
作家・研究者。Love Letters:An Anthology of Passionはベストセラーに、現在はロンドンとヴェネツィアを往来して著述活動をする
バーリア,ミンマ[バーリア,ミンマ][Balia,Mimma]
ヴェネツィア在住の美術教師、『ヴェネツィアの薔薇・ラスキンの愛の物語』が処女作
富士川義之[フジカワヨシユキ]
1938年生れ。東京大学文学部教授を経て、現在、駒沢大学文学部教授。イギリス近現代文学専攻、東京大学大学院博士課程満期退学
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
4
ラスキンはヴェネツィアで聖女を主人公にした連作を見て、その運命にローズと の共通点を見い出し、絵にはローズの面影を見い出す。成就した恋より、破れた恋に、 人はより思いを残すものだから、抜け出るきっかけを持たない人は 不幸だ。しかしラスキンにはそのきっかけがあった。良かった。 ヴェネツィアは仮面舞踏会が開かれる不思議な雰囲気を持った街。 だからこそ、こんな偶然が起きても不思議ではない気がする。 ボリュームもそんなにないので、きっと読みやすいでしょう。2006/05/01
Като́н
0
1996年前後、集英社の翻訳書がいくつか木村裕治さんによる統一された装丁で出ている。例えばヨシフ・ブロツキー『ヴェネツィア 水の迷宮の夢』やクリストフ・バタイユ『アブサン』、『安南 愛の王国』やル・クレジオ『パワナ くじらの失楽園』など、本書もそのうちの一冊。2024/08/30