内容説明
中国の文化大革命は、おそらく人類史上もっとも残酷な、人間の心を破壊した戦争であったと思う。だが、文革は、破壊したはずの魂が放った炎によって、最後には焼き焦がされた。その事実は、歴史に刻まれなければならぬ。なぜなら、もっとも残虐なファシズムによる強権政治が、やさしい人間の魂の光のなかで、滅んでいったのだから…。それが著者がこの作品で、自分の三年間の囚人体験を書いた理由である。中国文化大革命の嵐を生きぬいた詩人がいま初めて明かす、胸に迫る「命の記録」。
目次
逃れの船
暗黒王国の臣民
さびしさの重み
迷路の入口
仙人掌みたいに
壁のむこうの女
夢の祠
彼方からの手紙
岩と涙と
幼い瞳〔ほか〕